気候変動−開発教育アクティビティ集3
概要
- 発行:開発教育協会
- 2020年3月、A4判44頁
- 一般価格:¥1,500(税込¥1,650)/図書館価格¥3,000(税込¥3,300)
- 会員価格:¥1,200(税込¥1,320)
- 対象:中学生以上
気候変動という地球規模の課題について知り、アクションを起こすきっかけに。
気候変動(Climate Change)は、SDGs(持続可能な開発目標)が示された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中でも「我々の時代が直面する最大の課題のひとつ」と認識されています。「今すぐに、変化のための行動を起こさないと間に合わないかもしれない」と言われるほどの緊急性の高い課題です。
2015年のパリ協定では、産業革命以前と比べて地球の平均気温の上昇を2℃未満に抑えることに各国が合意しました。しかし、これを実現するために世界184か国が掲げた二酸化炭素排出量の2030年までの削減目標や対策は、十分と言うにはほど遠く、世界各国の足並みは揃っていない状況です。
日本でも気候の変化によって、自然災害の増加、農業や生物多様性への影響などが起きており、その被害や影響は年々拡大しています。ドイツの環境NGO・ジャーマンウォッチは、2018年の1年間で気象災害の被害が最も大きかった国は日本だったという報告書を発表しました。(※)世界で5番目に二酸化炭素を排出している国である日本は、加害国であり被害国でもあります。しかし、国レベルの気候変動に対する対策は積極的とは言えません。
※Global Climate Risk Index 2020 https://germanwatch.org/en/17307
もはやこれまでのような持続不可能な暮らしを続けていては、地球が立ち行かなくなることを突きつけられている中で、私たちはこの現状にどれだけの危機感を抱いているでしょうか。本教材が、気候変動という地球規模の課題について知り、私たち一人ひとりに何ができるかを考えアクションを起こすきっかけとなれば幸いです。
初めての方も取り組みやすい4つのアクティビティをご紹介
『開発教育基本アクティビティ集1-世界とのつながり』(DEAR、2017年)、『難民』(DEAR、2019年)に続く第3弾として、シンプルで基本的なアクティビティを紹介しています。
・準備が簡単で、45分でできる。
・その後に様々なテーマにつなげて展開したり、応用したりしやすい。
そんな、4つのアクティビティを掲載しました。そして、アクティビティと同じく重要な「ふりかえり」の方法もご紹介しています。開発教育や参加型学習の初心者の方に気軽に実践してほしいという思いから、進行のポイントや発問の仕方も詳しく記載しています。
資料提供・協力
- 岩﨑 茜(国立環境研究所 社会対話・協働推進オフィス)
- 高橋 英恵、深草 亜悠美、吉田 明子(特定非営利活動法人 FoE Japan)
- 永田 佳之(聖心女子大学グローバル共生研究所(SHISF))※
- 宗像 恵太(日本科学未来館)
※ 本教材の一部のアクティビティは、聖心女子大学グローバル共生研究所(SHISF)と共同開発しました。
クラウドファンディング
本教材の作成・普及のための取り組みに、160名の方よりご寄付をいただきました。たくさんの応援、そして、ご協力をありがとうございます!
ねらい
本教材は、「気候変動」をテーマに一人ひとりが問題に向き合い、公正で持続可能な社会のあり方を考えることをねらいとして作成されました。具体的なねらいは以下のとおりです。
- 気候変動をめぐる影響や問題、現状について理解し、関心を持つこと。
- 気候変動によって影響を受けている人々について知り、その立場を想像して自分事として捉えること。
- 気候変動をめぐる問題を構造的に理解し、私たちの生活とのつながりや自分に何ができるかを考えること。
もくじ
- ねらい ‥‥ 2
- この教材の使い方 ‥‥ 3
- 開発教育と参加型学習 ‥‥ 4
- 参加のルール ‥‥ 5
- ふりかえり ‥‥ 6
- アクティビティ1 気候変動クイズ ‥‥ 8
- アクティビティ2 気候変動の影響について考えよう ‥‥ 15
- 気候変動に関する基本情報 ‥‥ 26
- アクティビティ3 気候変動をめぐる問題を整理しよう ‥‥ 32
- アクティビティ4 私たちにできることを考えよう ‥‥ 36
- 実践事例 ‥‥ 40
- 参考・資料集 ‥‥ 41
アクティビティ1 気候変動クイズ
気候変動に関する基礎的な知識を学ぶことを目的としたクイズです。クイズシートを使って実施するほか、挙手や参加型アクティビティ「部屋の四隅」などの方法で動きを加えながら実施することもできます。
アクティビティ2 気候変動の影響について考えよう
気候変動の影響を受けている人や生き物のエピソードを読んで、気候変動の原因やその影響、私たちに何ができるかについて考えるアクティビティです。キリバス、フィリピン、ネパール、インドネシア、北極圏、そして、日本で影響を受けている人や生き物のエピソードを使って、気候変動やそれぞれの国や地域の事情を学ぶ導入としても活用できます。2つのすすめ方を紹介しています。
アクティビティ3 気候変動をめぐる問題を整理しよう
テーマ(キーワード)を決めて、それに関して気になることや疑問点などを共有し、課題発見につなげるもので、ウェビングを用います。ウェビングの「ウェブ」とはクモの巣を意味しており、クモが巣を作るように、1つのキーワードから連想されることがらをつなげたり、調べたいことをキーワードとしてその解決のために必要なことがらや方策を考えてつなげたりして、網のように広げていく手法です。テーマ(キーワード)から気候変動をめぐる問題の原因や現状を整理したり、さらなる課題発見につなげて分析したりすることができます。
事前に関連するテーマの調べ学習を行うことで、ある程度の情報を得てから実施すると、さらなる発想の広がりが出て気づきも多くなります。アクティビティ1、2のいずれかを事前に実施したうえで、気候変動をめぐる問題を整理することで、学習のプロセスや学習内容を効果的に振り返ることができます。
アクティビティ4 私たちにできることを考えよう
気候変動をめぐる問題に対して、私たちにできることを18個の選択肢から選ぶアクティビティです。現状を改善するためにはどうしたらよいか、一消費者として、また多様な立場にからできることは何かを考えることができます。2つのすすめ方を紹介しています。
8つのコラム
- 気候変動と地球温暖化はどう違う?
- ティッピングポイント~気候変動対策はまだ間に合う?
- 気候変動対策の課題
- パワーシフト~身近にできる気候アクション
- 地球温暖化に批判的な考えを持つ人とも対話を
- 食べ物と気候変動のはなし
- ファッションと気候変動のはなし
- お金と気候変動のはなし
スライド資料
スライド資料のダウンロードには教材に掲載のパスワードが必要です。
適宜編集してご利用ください(Microsoft Power Pointフォーマット)。
実践レポート
沖縄で「気候変動」ワークショップ―学習プログラムづくりにも挑戦!
教員やNPO/NGOスタッフが参加した2日間の講座で、作成中の教材を活用しました。 2日目は、参加者が気候変動をテーマに学習プログラムを作成しました。
https://dearstaff.blogspot.com/2020/01/blog-post_22.html
ご注文方法
- DEARの本は直販のみです。書店などには置いておりませんので(取次を通していません)、 DEARまでウェブ、ファクス、お電話にて直接ご注文ください。 詳しくはこちらのページをご参照ください。
- DEAR事務所(東京都文京区)で直接ご購入いただくことも可能です。来所の際は事前にご連絡ください。
- 教材総合カタログ(ヒルマ/スクラボ/PLUS)で一部の教材をご注文いただけます。詳しくはこちらのページをご参照ください。
アクティビティ集シリーズ
1 世界とのつながり | シンプルな4つのアクティビティを収録しています。「グローバリゼーション」はどこか遠い世界で起こっていることではなく、わたしたちの日常生活の中に入り込み、自分も、教室の中も世界とつながっているのだ、という気づきを得ることができるでしょう。 (2017年12月1日、A4判32頁、小学校中学年以上対象) → 詳しくはこちら |
2 難民 | シンプルな4つのアクティビティを収録しています。日本にも約7,500人の難民の方々が暮らしていますが、日本においては難民問題に対する関心は高いとは言えません。本教材が、私たちの身近に存在する難民について知り、かれらと共に生きていくために何ができるのかを考えるきっかけになれば幸いです。(2019年3月、A4判32頁、中学生以上対象)→ 詳しくはこちら |
3 気候変動 | (こちらのページの教材です) |
4 プラスチックごみ | シンプルな6つのアクティビティと専門家らによる10のコラムを収録しています。未来世代に「プラスチック汚染」という負の遺産を押し付けないために、変革と行動を願って作成しました。(2020年11月、A4判52頁、小学生以上対象)→ 詳しくはこちら |
5 服・ファッション | シンプルな5つのアクティビティと9のコラムを収録しています。「豊か」にサステナブルに、自分らしくファッションを楽しむためには?環境・気候変動・人権・労働など多様な側面から考えます。(2022年3月、A4判40頁、小学生以上対象)→ 詳しくはこちら |
教材の著作権について
- 教材・書籍等の著作権は開発教育協会に帰属します。著作権法上の例外を除いて、教材・書籍等の全部または一部を無断で複製したり、転写・引用・入力などしないでください。
※著作物が自由に使える場合(文化庁)http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html - ワークシート等の複写による利用は、学術的な調査研究、「非営利」の教育・学習活動に限ります。例えば、学校の先生が、授業で使うためにコピーを作って児童や生徒に配布することは「著作権法上の例外」なので、問題ありません。
- 教材・書籍等を利用して、非営利目的の講義や参加型学習プログラムを実施する際には、事前の広報資料や当日の配付資料、事後のレポート等に、使用する著作物の著作権者が当会または、制作団体であることを明示してください。印刷物やウェブページには、例えば、「当研修/講座で使用する教材/テキストは、開発教育協会(DEAR)発行の教材です。詳細はhttp://www.dear.or.jp/を参照してください。」等の表記をしてください。