DEAR 開発教育協会

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教員対象ワークショップ「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」in 沖縄(2013年2月)

アイスブレイキング

円になって一人ひとり自己紹介をした後、部屋の4隅をおこなう。お題は、「朝食はパンよりご飯」「休日は出かけるより家で過ごす」「私はエコな人」「3.11後に震災・原発事故に関する授業をやった」。お互い知るとともに、震災後のそれぞれの活動について話を聞くことができた。
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第一部「原発事故をふりかえる」

「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」in 沖縄

フォトランゲージ

以下の4つの写真をみながら、原発事故当時をふりかえるとともに、事故により避難せざるをえなくなった人達の気持ちや、今現在の暮らしについて考えていった。
写真①:福島第一原発の水素爆発の映像(2011.03.12)
写真②:福島市内の避難所でおこなわれた被曝検査の様子(2011.03.15)
写真③:2012年に「帰村宣言」した川内村で行われた小学校の運動会(2012.10)
写真④:チェルノブイリ原子力発電所から半径30キロ圏内の街(2012年に撮影したもの)

闘う浪江町「希望の牧場」~新聞記事を読み、気持ちを共有

福島県浪江町の警戒区域で、放射性物質に汚染されて出荷できなくなった300頭以上の牛の飼育を続けている「希望の牧場・ふくしま」の吉沢さんの記事(東京新聞2012.08.25)を読む。「わたしの気持ち」のワークシートに感想を記入した後、グループで話し合う。

「わたしの気持ち」から―

  • 福島で起きている現実をしっかりと受け止め、あきらめることなく行動している姿に驚かされた。「今、自分に何ができるのか」「自分が存在している意味は」など、自問自答しながら行動し続けているのだと思う。また、牛を今後の研究へ生かせるように働きかけていることも、今、この町でやれることを一生懸命行っている。それなのに、現在の流れとして、政治的な面を強く押し出して、これらの問題が未解決なまま原発を再稼働しようとしていることが、とてもくやしいと思う。吉沢さんのように今、何ができるのかを私自身も考えて行動していきたいと思う。
  • "国"という存在に疑問を抱く。国民の生命・自由・財産を守るべき国が、そのすべてを保障していない。国がどんどん当事者を切り捨てていく。差別の根源は国にあるのではなかろうか。残された人生を残された使命ととらえる彼の姿に、心から尊敬します。 一体、国とは何なのでしょうか?切り捨て国家?"公共の福祉"という名の"国家の暴力"ではなかろうか。

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第二部「核燃料ウラン」

「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」in 沖縄

使用済み核燃料のゆくえ~世界地図をつかって(教材「アクティビティ12」より)

世界地図を使いながら、ウランの生産国、原子力発電の原子炉を持つ国、使用済み核燃料の再処理をおこなっている国についてみていき、最後に、現在世界には放射性廃棄物の最終処分場として機能している場所がないことを知る。

ドキュメンタリー映画『ハード・レイン』を視聴

オーストラリアのウラン鉱山の問題を扱ったドキュメントを一部視聴。ウラン採掘現場での労働者の被曝やラドンガスによる地球規模の汚染、その土地で生きる権利を奪われた先住民族の暮らしについて見る。

ふりかえり

地図をつかったアクティビティとDVD視聴をふりかえり、気づき・印象に残ったこと、もっと知りたいこと・疑問に思ったことをポストイットに各自書いた後、共有する。

「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」in 沖縄

気づき・印象に残ったこと

  • 日本の原子炉の多さ!
  • どの国も廃棄物の最終処理場がないこと。
  • 日々、当たり前のように電気を使用しているが、そのもとになるウランの採掘の様子を初めて知った。
  • オーストラリアのウランが日本に輸出されている現実が、南北問題の構造と同じ。
  • 循環する自然の世界に無責任(無関心)な私達の生活スタイル。
  • 国家事業だが、犠牲になっている労働者がいる。

もっと知りたいこと・疑問に思ったこと

  • 原子炉のランニングコスト。
  • 表面にはでてこない(ださない)裏事情のからくり。
  • 日本人の意識を変えるために必要なことは何か。
※ポストイットに書き出した「もっと知りたいこと・疑問に思ったこと」は、各自持ち帰る。

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第三部「テクノロジーとわたしたち」

導入

「自分の生活のなかで最新の、もしくはすごいなと思うテクノロジーが使われているモノ/サービス」について一人ひとり考え、発表する。

地球の食卓~フォトランゲージ+ランキング(教材「写真で学ぼう!地球の食卓学習プラン10」を使用)

グループで、教材の写真(4カ国の家族:アメリカ・グアテマラ・中国・ドイツ)を読み込んだ後、ランキング(テーマ:健康で長生きしそうな/食費が高い/長期滞在するなら/食生活がハイテクに頼っている)をおこなう。テクノロジーの利用度とエネルギー消費量は相関関係にあるかを考えた後、「適正技術」の概念を簡単に紹介する。

テクノロジーとわたしたち~テクノロジーの利用を考える(教材「アクティビティ14」より)

2~3名の小グループで、「スマートフォン」「電子レンジ」「拳銃」「原子力発電」「原子爆弾」といったカードを、規制が必要なレベルにより3つのグループに分け、その理由を話し合う。その後、2つのグループが合同で話し合い、その結果を発表。さらに、「テクノロジー開発」→「社会で使用できるテクノロジー」→「実際に使用する」の各段階で、誰がどのように関わるとよいかについて話し合う。

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参加者の感想
~「文化や環境を、地元資源を活かす考え方で、社会を作れたらいいと思いました」

  • 今日のワークショップを通して原発問題だけでなく、テクノロジーやウラン鉱山の現状などを知ることができました。今まで「電気がもったいない!」と言って節電していたのは、"電気料"のことだったなーっと反省しました。外国から核燃料を輸入しているのは、知っていましたが、実際に映像で見るとショッキングで本当に「もったいない」使い方はやめようと感じました。
  • エネルギーと原発と強い関心があっても、忘れていたことが沢山ありました。3.11の出来事を振り返り、福島の吉沢さんの記事を読み、「棄民」という扱いや地元を愛し、問題と向き合う勇気や世界の原子力や産出国の現状や私達のエネルギーとの関わり方について考えました。 今日は適正技術という言葉に魅力を感じました。文化や環境を、地元資源を活かす考え方で、社会を作れたらいいと思いました。忘れずに発信したいです。
  • 沖縄電力が唯一、原子力発電所を持っていない電力会社ということで、生徒たちはよく「原子力発電所が近くにないので、原発のことはよくわからない」と言います。しかし、今日勉強させてもらったフォトランゲージやランキング、テクノロジーに関するアクティビティは目の前にないものを考えるうえでも、たいへん勉強になりました。
  • 原発も賛否が大きく取り上げられ、また、なくすとなると雇用の問題が大きく取り上げられるという一方向のとらえ方がとても多いように感じていました。私たちの日々の生活やいろいろなものがつながっていること、また、自分の生き方につながっていくことをふまえ、授業で取り上げていけるようまた勉強を重ねたいと思います。
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主催者の感想~「原発事故による避難者達の心情を共感的に捉えることができました」

沖縄は、被災地から距離的に遠いため、関心が低いのではという懸念の元、今回の体験講座を主催しました。しかし、参加者の多くが開発教育を実践している方々であり、3.11に関しても、今まで授業で取り上げてきた視点をさらに広げたいという志の高いメンバーでの講座となりました。

当日は、講師の宮崎さんが示す避難者の具体的な数や、チェルノブイリの現状がわかるフォトランゲージなどを通して、改めて、エネルギーとの共存やそのあり方について考えるいい機会となりました。特に、東京新聞の記事を活用したワークショップで「『棄畜』進めば今度は棄民」という表現が印象的でした。ワークショップ後の参加者の感想からは、「沖縄の海外への移民政策も棄民政策の一つだったよね」という話に発展しながら、原発事故による避難者達の心情を共感的に捉えるような感想も出ました。

また、「初めて知ることが多く、また、授業活用へのヒントもたくさん頂くことができた」との感想も寄せられました。今後も3.11を忘れることなく、エネルギーとのあり方について、学校現場や市民教育の場などで、取り上げていく活動を展開していきたいと思います。 (報告:我如古香奈子)

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