DEAR 開発教育協会

english site

「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」原発停止をめぐる意見 in 立教大学(2013年5月)

※2回連続講座の1回目です。2回目「ベトナムへの原発輸出」のレポートはこちらに掲載しています。

導入のクイズ

「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」in 立教大学 日本の原子力発電所と福島第一原発事故(2011年3月)以降の状況に関する基本的知識を確認するために、以下のクイズを行った。また、情報を補足するために、関連する新聞記事や原発立地の地図を見ながら、説明した。
  1. 日本にはいくつ(何基の)原子力発電所がある?(答:54基)
  2. 福島第一原発事故後、事故・定期検査以外で初めて止まった原発はどこ?(答:浜岡原発)
  3. 現在、日本で稼働中の原発の数はいくつ?(答:2基/大飯原発)
多くの学生が推測した日本の原発の数は「20~30基」程度だった。そのため、「54基」の原発があるということに「そんなにたくさんあるの!?」と、とても驚いていた。また、日本で稼働中の原発が「2基」ということにも、とても驚いていた。「もっとたくさん稼働していると思っていた」「電気が足りなくなるので、半分くらいは稼働していると思った」との回答があった。
page top

アクティビティ「原発停止をめぐる意見 様々な意見を読み・くらべる」

「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」in 立教大学
  1. 新聞記事を見ながら、2011年5月6日に菅直人首相(当時)が浜岡原子力発電所(以下、浜岡原発)の停止を宣言したことを説明。
  2. その際の宣言文を配布し、生徒の代表に音読してもらう。
  3. 政治家や首長、企業人などさまざまな立場からの発言が書かれたワークシートを配付。
  4. 浜岡原発停止に「肯定的な」意見や表現を探し、下線を引く。
  5. 浜岡原発停止に「否定的な」意見や表現を探し、下線を引く。その後、グループ内で共有する。
  6. 自分が最も共感できる意見を選び、○をつけてもらう。また、最も受け入れがたい意見を選び△をつけてもらう。その後、グループ内で共有する。
  7. 原発のある自治体の首長の発言はどれか、企業の経営者の発言はどれか、なぜ、そう思うのか、グループ内で話し合う。

振り返り

各自でコメント・カードを持ち帰り、記入。次回の講義時に提出するよう伝える。
また、書けそうであれば「菅直人首相(当時)の宣言文に対する、自分の意見」を書いてみようと伝える。
page top

参加者の感想
~「自分の意志を伝えることができ、人の意見をきくことがとても面白く、たくさんのことが自分の糧になったように感じた」

  • ディスカッション中心の講義で、とても有意義な時間をすごすことができました。 いちばん印象に残っているのは、稼働している原発の数です。私は、3.11の震災前と後では、それほど変わっていないのでは、と思っていました。しかし現在、2基しか稼働していないと聞いて、とても驚きました。今まで、原発から得ていたエネルギーは、今どこから得ているのか疑問に思いました。火力発電など、別の発電方法を用いているのか、または、代わりのものがなくても足りているのか、とても疑問です。
    また、ディスカッションは「浜岡原発をめぐる様々な意見」について、その意見の賛否を読み取ることや、自分がどの意見に賛成などかなどを話し合ったりしました。"話し合う"というよりは、"意見の交換"といった方が、しっくりくるような場で、しっかりとテーマに向き合い、自分の意志を伝えることができたし、同じグループの人の意見をきくことがとても面白く、たくさんのことが、自分の糧になったように感じました。"意志の尊重"ということをひしひしと感じました。

  • 原発に関するワークショップと聞いて、原発の賛否を言わなくてはならないのか、と不安でしたが、公平な立場に立って、様々な立場の意見を学ぶことができて勉強になりました。
    私が最も共感した意見は、Gの敦賀市長の意見です。地元に原発があり、産業として成り立っているのかもしれませんが、「今回の福島第一原発の事故が、津波だけによるものか、地震の影響はどれだけあったのかなどの報告がまだ出ていない」と感情的になりすぎず、冷静に分析しているからです。また、同じ班の人が、「Eは原発に賛成なのか反対なのか分からず、みんな嫌いかもしれけど、私はEに一番共感した。Eは賛成、反対ではなく、これからどうなるか、どうすれば良いのかを最優先に考えている」と発言していたのが、とても印象に残りました。

  • 今回の授業で教わるまで、正直、原発に関する正確な知識・情報を持っていないことに目を向けていませんでした。現在の稼働数や、そもそもの原発の数など、今更ながら知ることが出来ました。原発に関しては、情報が沢山ありすぎて、どれを信じれば良いのか、どこまで知れば良いのかと、半ば諦めかけた気持ちもありましたが、改めて"知っている"ことに越したことはないのだと思い、もっと目を向けようと思いました。
    浜岡原発をめぐる意見について、グループで意見を出しあった際、同じ人の意見に対しても自分とは全く別の視点から意見を述べている人もいて、なんだか新鮮に感じました。自分がこうだと、と至極当たり前に思ったことであっても、皆が皆そうではないのだと、改めてですが思い知らされました。裏を返せば、そのような意見であっても、賛否両論持ち合わせているのは仕方のないことなのだと思いました。

  • 【コメントを書いてきた学生】浜岡原発を停止したところで電力量に影響するわけではないという点において、国の決定は正しかったと言えるし、この地震によって国民の消費生活を見直す要因にもなった。便利と危険は紙一重ではあるが、今後、危険を伴わない火力、原子力に代わる新たなエネルギーの発見、開発に国は取り組まなければならないと思う。いろいろろなものがつながっていること、また、自分の生き方につながっていくことをふまえ、授業で取り上げていけるようまた勉強を重ねたいと思います。

  • 菅元首相の会見と、様々な地位の方の意見を読んでグループワークをして、自分とは違った見方の意見をたくさん聞けました。 原発に対する意見の相違以外にも、文章の読み取り方も人それぞれであったため、参考になることが多かったからです。自分の意見としては、今現在動いている原発が2/54だと言うことを知って、その2基しか動いていなくても国内の電力がまかなえるなら、あとは国民一人一人の節電への気配りで等で原発0も目指せるのではないかと思います。国民の安全性を第一に考えるなら、自分達一人一人も協力が不可欠だと思います。

  • 原発の数がだいたい50基ということは知っていましたが、事故後、稼働数がそこまで減っていたことは知りませんでした。それでも日常生活の中であまり不便を感じなかったということは、本来そこまで稼働する必要はない、ということなのだと思いました。今日のワークショップで、初めて、「個々の意見に対してどう思うか」という方式を体験し、それぞれの立場の考え方というのが伝わってきました。市長は、自分の市のことを中心にした発言。経団連会長は、経済や、大企業を中心にした発言。それぞれ、その人の発言というよりは、「何か」「どこか」を代弁したような発言だと感じました。それぞれの立場があり、生活があり、折り合いをつけるのはとても難しいものだと思いました。本当に必要なのかわからない数の原発が何故あるのか、その理由について、もっと真剣に考えていかなければ根本的解決ができないのだと思います。
page top

実践者の感想~「“話し合うことの面白さ”や“異なる意見を聞くことの大切さ”を体験・実感できた」

「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」in 立教大学

「持続可能な開発のための教育(ESD)」の講座を自ら選択している学生たちなので、エネルギーや原発のことについても「関心」は持っていましたが、原発がどこに立地しているのかといったことや、現状、事故の後に起こっていることなどの「情報」については、知らないことが多いことに驚かされました。

翌週に提出されたコメント・カードのほぼすべてに「日本に54基も原発があるとは知らなかった、今、2基しか稼働していないことにも驚いた」と書かれていたことが、とても印象的でした。

福島第一原発の事故からまだ2年しか経っていませんが、わたし自身が思っている以上に学生たちにとっては「過去」のことになっているのだと感じました。参加者の状況を知り、フォローしていくためにも、ワークショップをやる前に、基本的な情報を全体で共有することが大切だと実感。今回、新聞記事や原発立地地図などのビジュアル資料を用意していったことが、とても役立ちました。

一方で、とてもよかったのは、この教材の目的でもある「“話し合う”ことの面白さ」や「異なる意見を聞くことの大切さ」を体験・実感してもらえたこと。学生たちはグループワークに積極的に取り組み、よく話し、意見を聞くことができました。また、コメント・カードには、しっかりと自分の言葉で感想や意見が書かれており、学生たちがよく考え・学ぶことができたのだと確認することができました。(報告:八木亜紀子)

page top
 「参加型学習の実践例」一覧へ戻る    DEARの講師派遣プログラム
参加型学習で世界を感じる-開発教育実践ハンドブック こんな授業をしてみたい!
『市民学習実践ハンドブック~教室と世界をつなぐ参加型学習30』

全国各地の学校やNPO/NGOによる現場の事例から、数多くのヒントを得られる一冊です。日本の貧困問題から、グローバリゼーション、環境、先住民族、模擬選挙などの多彩な取り組みを、「多文化共生・多様性」「平和・戦争・メディア」「世界とのつながり」「市民と参加」の4つのテーマでまとめました。(一般価格¥2,000 会員価格¥1,600)
詳しい紹介をみる
page top