DEAR 開発教育協会

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「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」ベトナムへの原発輸出 in 立教大学(2013年5月)

※2回連続講座の2回目です。1回目「原発停止をめぐる意見」のレポートはこちらに掲載しています。

導入のクイズ

「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」in 立教大学 世界の原子力発電所と核燃料サイクル、核廃棄物の処分に関する基本的知識を確認するために、以下のクイズを行った。また、情報を補足するために、関連する新聞記事や核燃料サイクルの図、Worldmapper掲載の原子力発電地図(右図)を見ながら、説明した。
  1. 世界にはいくつ(何基の)原子力発電所がある?(答:約450基/建設予定約130基)
  2. 現在、稼働している核廃棄物の最終処分場はいくつ、どこにある?(答:ゼロ/建設中はあり)
  3. 日本がおこなっている「原子力協定」ってどんなもの?(答:口頭で説明)
多くの学生が推測した世界の原発の数は「150~250基」程度だった。そのため、「約450基」の原発があるということ、建設予定が100基以上あることに、とても驚いていた。また、核廃棄物の最終処分場がないことには、「えーっ」と教室がどよめくほどに驚いていた。また、ちょうど日本がトルコ、UAEと原発輸出に関する原子力協定を結んだばかりの時期だったため、新聞記事を見ながら、日本の原発輸出の動向について補足説明した。
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アクティビティ「ベトナムへの原発輸出 いろいろな立場に立って考える」

  1. 今日はベトナムへの原発輸出に関して学ぶことを伝え、「背景の説明シート」をグループに配付し説明する。
  2. 各グループに、ベトナム・タイ・日本のさまざまな立場の「人々の言葉」カードを1セットとワークシートを配る。グループ作業で、カードを読みながらワークシートに記入する。このとき、「正解」を探すのではないこと、個人の意見は必ずしも「反対」「賛成」に2分されるわけではないことに留意する。
  3. ワークシートの内容を全体で共有する。その後、気づいたことや考えたこと、疑問点をたずねる。
  4. この原発建設(輸出)を進めるかどうかの決定に、もっとも影響をあたえられそうな人は誰か。また与える影響が小さい人は誰か。影響力の大きい順番にカードを並べる。
  5. カードの中で「自分自身の立場」に最も近い人は誰か考えてみる。
  6. どうしたら「与える影響が小さい人」が決定に参加できるようになるのか、その可能性はあるかを問いかける。
「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」in 立教大学

まとめ

最後に、以下の問いかけをし、まとめに代えた。
  • 40年前、50年前日本の各地で原発が建設された時の状況はどうだっただろう?
  • 当時、日本に原発を輸出したのは米国。現在の米国には原発の新規建設計画はない。米国→日本→アジアと繰り返される原発輸出の構造についても考えてみよう。
  • 原子力協定も国会で決まる。市民が合意形成に参加する方法にはどんなことがあるだろう?

振り返り

各自でコメント・カードを持ち帰り、記入。次回の講義時に提出するよう伝える。
また、書けそうであれば「原発輸出に賛成か/反対か」「原発輸出は国際協力だと思うか」について書いてみようと伝える。
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参加者の感想

「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」in 立教大学
  • 世界の原発の数の多さにも驚きましたが、最終処理までのサイクルを見、最終処理場が絶対的に少ない、サイクルがまわっていないという現実にとても驚きました。サイクルはあくまで理想論に近いのかもしれませんが、"必要に駆られて作ってはみたものの…"という、見通しのずさんさが如実に表れているのかなと思いました。
    それを踏まえて原発輸出の話を考えると、やはり肯定はできません。日本企業の方の意見に"国内で(ビジネスが)立ち行かなくなったから海外でやるのだ"と言ったようなものがありましたが、それこそ見通しのずさんさの要因というか、目先のことしか考えられていないのでは?と思ってしまいました。全てビジネスとしてのみ捉えていれば良いという訳ではないと思いました。ですが、今顔の話の場合、"どうしても国として電力が必要だ…"と必要に迫られていることはわかります。なので、最低限「国民に情報を届け認知してもらう」取り組みだけでもすべきだろうと思います。

  • 様々な立場の人の意見を皆で分析すると、決定力があるのはやはり、政府や元の圧関連企業で、立場のえらい人で、決定力がないのは市民だとほとんどの班は考えた。私は原発輸出に賛成である。また、国際協力だと思う。なぜならお互い技術提供することによって、原子力政策のレベルアップにつながるし、より便利な世の中になると思う。そして、提供し合うことで国同士の中も深まり、いざというときに、お互いを助け合うことができるから。環境汚染が気になるが、私たちは原子力に結局頼っているのだと思う。

  • 世界の原発については、「フランスに多いらしい」という程度しか知らず、約450基がほぼ北半球に位置していることに驚きました。核技術を持っているということは核ミサイルを保持している可能性も高いはずで、原発と戦争は表裏一体と言えるのかもしれないなと感じました。日本が原発を海外へ輸出しようとする話は少し聞いたことがありましたが、現地の住民はほとんどそのリスクについて聞かされていないと言うことには衝撃を受けました。
    原発輸出は国際協力と思うかどうか、という問いがありましたが、私はそうではないと思いました。「国際協力」は、ビジネスではない以上、現地の人と寄りそってこそ、あるべき姿だと思います。日本は技術立国であるからこそ、これまでになかったバイオ燃料やリサイクルシステムなどに対してアプローチできると思うし、するべきだと思います。今後も原発輸出を行っていくのであれば、使用済核燃料をどうするのか一定のサイクルを考え、提示して初めて輸出可能なライフになると思う。

  • 原発輸出に私は賛成です。現在、日本は福島の原発事故を境に、原発需要が減ってきており、日本の高い技術力を外国へ輸出することは日本のためにも外国の人たちにも良いことだと思います。日本は地震が頻繁に起こるため、原発需要が減るが、外国の地震が少ない地域にとっては電力をまかなうにはとても良い手段だと思う。日本の原発技術は優れており、安全面ではしっかりとした管理のもとではしっかりしていると思う。
    ニントゥアン第二原発建設についてはベトナム政府の独壇場ではなく住民の意見もしっかりと考慮すべきだと思いました。政府の一方的な決定には不快感を感じました。住民の移住後にしっかりとした対策をして住民が今まで通りの生活ができれば良いなぁと思いました。

  • もんじゅや首相の原発セールスなど、最近原発を巡るうごきが活発になっているということだが、あまり知らないでいる自分に気づいた。原発関連の情報に過敏になった震災時と比べると大きな差だと思う。今でも原発の問題は何も解決しておらず、危険がなくなったわけでもないのだが、原発のような深刻な問題の情報を追って常にそれを考えているとそれだけで疲れてしまうし、だからといって無関心でもいられるはずもなく、難しい問題だと思った。
    原発輸出にはどちらかといえば反対。リスクの大きさは今回の事故で身をもって知ったと思う。他の発電方法に目を向けるべき。国内で原発を縮小しようというのに、海外には売りに行く、とういのは信頼を得られる態度ではないと思う。ただ、原発をやめることで原発にまつわる技術や知識が失われることは問題だと思う。

  • 原発が世界に400基以上ある中で、最終処分場はゼロという事実にとても驚きました。なかなか処理をすることが困難であることは、うすうす気づいていましたが、数値でみるとより現実的に、よりリアルに感じることができました。そんな側面を含みながら、日本が今原発を他国に輸出するという事実を受け、さまざまに思うことがありました。ベトナムの村人の主張、日本側の主張、NGOの主張。この機会にどんなに思っても、わたしたちが止めることはできないと無力さを痛感しました。
    しかし、八木さんがおっしゃっていたように、私たちは全く無料であるということはなく、選挙などの形でそうした問題を止めることができるのです。より真剣に、日本の政治と向き合わなければと強く思いました。
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実践者の感想

「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」in 立教大学

前週に引き続き、2回目のワークショップということで、学生たちもグループワークに慣れ、活発に意見交換できました。立場の異なる、日本・ベトナム・タイの人たちの意見に共感したり、葛藤したり、難しさを感じたりと、よく読み込み・考えることができました。

前回、ワークショップをやる前に、基本的な情報を全体で共有することが必要と分かったので、核燃料サイクルの図や、新しい新聞記事、その日にあった「もんじゅ」の無期限停止命令のニュースなど、さまざまな資料を用意し、ていねいに導入をおこないました。このテーマを扱う時は、動いている現状に即した補足資料を用意し、参加者の理解や知識を確認しながら、ゆっくり・じっくり進めるのがよいと思います。

また、できれば最後の「合意形成への参加」の部分をもっと深めたかったと。あと1コマあれば、「参加のはしご」などを使いながら、市民の社会参加について、民主的な合意形成について、考える時間を持てたのではないかと思います。(報告:八木亜紀子)

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