DEAR 開発教育協会

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あおぞらセミナー第1回:私たちの未来予想図
「豊かな社会」にとって大切なこととは?(2016年12月22日掲載)

「豊かさと開発-Development for the Future」
  • 実施日: 2016年9月24日(土) 14:00~17:00
  • 会 場: あおぞら財団
  • 主催者: あおぞら財団
  • ねらい: 家族や友人など身近な人と地域や世界の未来像を描きながら協力して持続可能な社会づくりに参加するための学習をすすめる活動を体験する。
  • ファシリテーター: 開発教育協会(近藤牧子、西あい)
  • 参加者: 約30名(教員、NPO関係者など)
  • 使用教材:「豊かさと開発-Development for the Future」(開発教育協会)

ESDを紹介する連続講座

「あおぞらセミナー」は、参加型の手法によるESDの手法と意義を、教育関係者向けに紹介することを目的とした連続講座で、今回がその1回目として実施された。

  1. 導入、アイスブレーキング、自己紹介
  2. コンパス分析
  3. 豊かな社会にとって大切なこと
  4. 開発ランキング~「私たちの国づくり」
  5. ふりかえり

1.導入、アイスブレーキング、自己紹介

冒頭で5~6人グループにわかれ「名前・所属」「おすすめの秋のお楽しみ」「“豊かさ”を象徴する人、モノ、場所、など」「今日の期待」を書いてもらい自己紹介をした後、参加のルールの共有をした。

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2.コンパス分析

多様な"開発"のありかたをあらわすような写真を各グループに1枚ずつ配布して「コンパス分析」を行った。

事前に、主催者に依頼をして、活動地や地元の写真を見繕ってもらい、そのうち数枚と教材に収録した写真を取り混ぜて使用した。

参加者が教育実践者中心ということもあり、中には、分類する作業自体が目的化してしまい、作業のプロセスでの話し合いが少なくなっているグループもあった。そうしたところには、分類することが目的ではなく、なぜそう考えるか、話し合いをするよう促した。

グループ作業がある程度進んだところで、あまり意見が出されていない分野について考えたり、写真に直接は写っていないがそこから想定できることについて話してもらった。
→そのうちに、付箋に書く作業はしなくても意見交換がつぎつぎ展開していく様子が見られるようになった。

他のグループの模造紙を見て回ったあと、感想を尋ねた。

教材に収録の写真(クリックで拡大)  あおぞら財団が連携している東北の被災地の様子(クリックで拡大) 

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3. 豊かな社会にとって大切なこと

「豊かな社会にとって大切なこと」について異なる説明が書かれた複数枚のカードを配布し、3人組になって各自が選択したカード内容とともに、どのような基準で選んだのかを共有してもらった。
カード例:福祉サービスが充実していること…、たべものやおしゃれなものがすぐ手に入る…等

このとき、「他の人の選んだカードについて、評価や判断をしない」ことを再度伝え、徹底してもらった。(このアクティビティは個人の価値観の出し合いとなるため、自分の意見に対する他者の意見が出されると、自分の意見を説明しづらくなるため。)価値観は多様であることを大事にするよう、重ねてお願いした。

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4. 私たちの国づくり

多様な価値観のすり合わせの作業となるので、先ほどと同じ3人組で、「何のための開発か」のランキングカード内容を使用して、「私たちの国の重点政策」の順にランキングし、どのような国を作りたいのかの方針を記述してもらった。

多様な意見が出されるが、時間がきてもなかなか合意形成にいたらないグループが多く見られた。その後、隣のグループと結果を共有したところ、すべてのグループが「I(強力な政府によって国の秩序が保たれるようにするため)」を一番下に置いた。

私たちの国づくり  私たちの国づくり  私たちの国づくり 

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5. ふりかえり

最後に、ふりかえりを個人で記入後、3人組でバズセッションをして共有した。話し合いのプロセスもふりかえってもらうため、項目はつぎの3点とした。
(1)感想
(2)自分自身の参加度は…(100点満点で)
(3)参加型学習の「よいな」と思う点や、参加型学習で学習できること

(1)感想

  • 「誰にとっての?」と考えることで選ぶ豊かさは変わるのだと思った。自分は、「今持っている物の中で失いたくないもの」を基準に考えていた。
  • 豊か…ということは人間関係、社会とのつながりを最優先に見ていきたいということを認識できた。経済の安定はそのものだけで存在せず、人・物との裏打ちという視点が明確になった。
  • 「豊かさ」を最初の自己紹介のときは、「ぜいたくさ」に少しずれたイメージで考えていたと思う。やっているうちに、自然、経済、人との関係や自分自身の気持ちの「豊かさ」など、いろいろな捉え方が出てきて、「豊かさ」そのもの(概念)が豊かになりました。
  • 答えのないものを考える作業をグループで行うことで、「自分の意見を整理する」「他者の意見を聞く」ことができると感じた。また、4つのルールがあれば安心して意見を言うことができるし、自分の考えが認められたとき(共感された時)、自信がついたり満足感が得られると感じた。
  • 「豊かな社会」に大切なこと25から3を選ぶ。環境の視点を自分は選ばなかった。大切だと思っているけど、後回しの課題になってしまっているのはこういうことかな?と思った。価値を扱うワークや人の考え方の多様性は様々な学習に応用可能だ。
  • 人の意見を聞くと、自分が気が付かなかったことを教えられたり、そういう視点もあるのかと思わされたり、考え方の幅が広がり学びが深まる。

(2)自分自身の参加度は…(100点満点で)

  • 80点:自分の意見が言えた。班の人の意見を聞いた。自分の意見を聞いてもらえた。全体の場で意見を発表できなかった。
  • very goodの評価
  • 70点:いつもなのですが、"聴いてしまう"方が多くて、自分はあまり言わないので。上手く言えないというか、パッとその場で言語化できないんです。何となく皆さんに悪いような気が。
  • 70点:グループの方の意見をよく聞くことができた。自分の意見と、相手の意見を合わせて別の意見を生みだす、相手の意見から新たな意見につなげていくことができたらもっと良かった。
  • 95点:5点足りないのは全体の場で、自分から言えなかったこと。
  • 60点:積極的に参加し発言したか、人の言うことをしっかり聞いたかあまり自信はない。

(3)参加型学習の「よいな」と思う点や、参加型学習で学習できること

  • 自分の話を聞いてもらえるという経験ができる。人の話に共感するという経験ができる。意見をすり合わせるという経験ができる。
  • たったの2時間30分そこそこの内容であったが、とっても深く濃いものであった。今までであったこともない各地でがんばっている方とつなげたのもよかった。
  • やはり、人と話す/聴くので、自分では気づかない視点や考えに出会えることは大きいです。
  • これからの社会では「0か100か」ともとめることではなく、「○と×から△を見つけ出す」ことが重要だと思うので、中学校現場からこのような活動を経験させたいと思った。
  • 「考える」「悩む」「もやもやが残る」「他の人の意見を聴くことができる」「話し合う場面」
  • 学校の授業でも教員側の話を一方的に聞かせるのではなく、生徒が自分たちで意見交流しながら学べるようにしたり、クラスの生徒同士であれば、お互いのことをよく知ることにつながる。

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6. 実践者の感想

今回の参加者は教育実践者が中心であったので、価値観を扱う学習が教え込みにならず、価値を尊重し合いながら少しずつ合意をしていくことの良さや、そのための手法を体感してもらえたのであればうれしく思う。また、終了後に、生徒が自分の価値観を話しあうことの大切さを語ってくれた参加者もいた。そうした実践が広がってくれることを期待したい。

(報告:近藤、西)

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