DEAR 開発教育協会

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Global Express 学校での実践レポート
「イラク人質事件を考える」神奈川県立麻生高校での授業(2004年4月23日実施)

時事問題を教室へ-グローバル・エクスプレス

DEAR会員がグローバル・エクスプレスの教材をもとに実施した授業の様子をレポートします。教師の発問、生徒たちの反応など、授業づくりの参考にしてください。

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実施概要

■実践:神奈川県立麻生高校
■実践日:2004年4月23日(金)
■授業形態:午後2時間続きの授業「国際関係-地球市民入門」
■生徒数:5人(男子1名、女子4名)
■教材:「サンプル版 第1号 イラク」

1.生徒にワークシートを配布する

2.肯定的な意見にアンダーラインを引く

■教師:このA~Hの意見を読んで、人質にされた3人に対して、肯定的な意見にアンダーラインをしてみよう。あとで、どうしてそう考えたか理由を言ってみよう。」
□生徒あ:A
□生徒い:B
□生徒う:H
□生徒え:Eは微妙?

3.否定的な意見にアンダーラインを引く

■教師:それでは、否定的な意見は?
□生徒え:C 。「無謀な行為」とある。
□生徒う:D 。「自覚がない」「ナイーブ」と言っている。
□生徒あ:F 。「渡航自粛勧告」とある。
□生徒い:B 。「全ての人は危険地帯に入るリスクがある」となっている。

■教師:でも、「い」さんは最初、B は肯定的な意見と言ってたよね?
□生徒い:Bの人は、最初の所では否定的だけど、「しかし」以下のところは、肯定的。
□生徒あ:B の人は、3人の行動はいいことだとは思っている。ただ、その行動にはリスクがあるとしている。
□生徒う:Gは全部の中で一番極端な意見。「日本国と縁もゆかりもない」など言い方がきつい。C と同じくらい否定的。

4.どの国の人の意見なのかを推測する

■教師:それじぁ、新聞やウェブサイトを見て(一人1台、インターネットに繋がったコンピュータを使っている)、これらの意見が、どのような立場の人が言ったことかを、調べてみよう。
~30分くらい各自調べる~

■教師:どうかな?分かった?この中には、日本、アメリカ、フランス、イラクの人の意見がある。どれがどの国の人の意見だと思うかな?
□生徒あ:アメリカの意見は、3人の行動に否定的だと思う。フランスは国連でも、アメリカの動きに反対していたし、軍隊も送っていないから、肯定的だろう。だから、フランスがBかな?「自ら行動した国民がいることを誇りに思うべき」とあるから」
□生徒え:Eがイラクだと思う。3人を使って日本政府を責めているから。Eはアメリカではない。イラクの人たちは3人の動きに肯定的だろう。」
□生徒う:Aがイラクっぽい。「イラク国民の命について敬意を払っていると言えるのだろうか」としてるから。
□生徒:Dは、阪神大震災のことなど、日本にやたら詳しい。

■教師:そうだね。少しずつ正解を言っていこうか。まず、AとEがイラクの人だ。Aが、実は拘束したグループの4/11(日)未明に出された声明文なんだ。Eは、解放に多大な貢献をした、イスラム宗教者委員会幹部のアルクベイさんの言葉なんだよ。
□生徒お:Bはアメリカだろう。「危険地域に入るリスクを引き受けなければ、世界は前に進まなくなってしまう」とあるように、アメリカはイラク戦争を正当化しようとしている。日本と仲が良いから、「日本人は誇りを持つべき」と言っているのではないか?」
□生徒あ:アメリカのどの立場の人かによるだろう。ブッシュ政権は考え方が軍国主義ぽい。ネオコンのなど、政権の考え方の人がこの意見を言ってると考えるとどうか。彼らは日本政府を仲間だと思っているだろう。そうなると、3人の行動を肯定することは、アメリカのイラク政策を批判することになるから、B は、アメリカではないのではないか?」
□生徒:Gは日本政府っぽい。与党の議員かな?

■教師:だいたい合ってるね。これは、元ペルー大使の青木盛久氏の言葉なんだ。
□生徒:Fも日本政府っぽい。
■教師:今は自衛隊でなければできないと言っているのだから…
□生徒:分かった。岩じゃなくって???
■教師:そう!石破防衛庁長官の言葉です。
■教師:あと、残りは、BCDHが残ることになるね。フランス、アメリカ、日本2つが残っていることになる。
□生徒う:Hがフランスかなぁ?「アメリカが大義がない」といってるから。
□生徒:Cは、3人に否定的。
□生徒:D がアメリカっぽい。
□生徒あ:B はアメリカのパウエル長官かも。パウエル長官はブッシュ大統領と対立しているようだし、お母さんが、パウエル長官が3人の行動を評価していたと言ってた…。

■教師:そう!その通り!B はアメリカのパウエル国務長官です。あとは、CDHの3つだね。一つは日本の新聞の社説。もう一つは日本のジャーナリストの意見。もう一つがフランスの新聞だ。
□生徒:じぁ、Hがジャーナリストだ。

■教師:そうだね。Hは、日本ビジュアルジャーナリスト協会の意見だ。時間がないので、最後の種明かし。Cが読売新聞4月10日の社説、Dがフランスの新聞、ルモンド紙(4/14)だ。それじゃあ、最後に、みんなは、これらの意見を読んで、どれに一番共感できるか、どれが一番受け入れられない意見かを考えて、この問題に関する自分の
考えをまとめてみよう。

5.もっとも共感できる意見/受け入れられない意見を選び自分の考えをまとめる

□生徒あ:
今日の授業で読んだいろんな立場の人の意見の中では、私が一番共感したのはHのジャーナリスト協会の意見でした。とくに最後の一行「爆弾を落とす側ではなく、落とされる立場にたたなければ戦争の真の姿は見えません。」というところが、心に残りました。 そして、一番いやだと思ったのは、Gの元ペルー大使の人の意見でした。「政府は責任を負いきれない」とか言ってるけど、国民の命を守らないなら、政府はなんのためにあるのかよくわかんないなぁ。 それから、Aの武装グループの声明文はおもしろいと思いました。犯人の方が日本の一部の人間よりよっぽど人間らしく物事を考えてる!!と思いました。 日本の政府や一部の報道では被害者の三人の行動は批判されてるけど、それは「みせしめ」にするためだと思います。いっぱい批判しておけば、これでNGOとかジャーナリストとか政府に都合の悪い人間がイラクに行くのも確実に減って、ますます自分たちを正当化することが出来るからです。

□生徒え:
3人は、渡航自粛勧告がでているのにもかかわらずイラクにいったのだから、危険を承知で、死ぬことも覚悟していたと思う。でも実際日本国民が人質にとられれば、自己責任で行ったのだからとは言っても、日本政府は黙っているわけにはいかない。元ペルー大使の人が言ったように「この人たちは日本国と縁もゆかりもない」なんておかしい。政府というのは国民が税金を払い、国民が選んだ人たちで成り立っているわけで、国民が政府と関係ないわけがない。 復興支援なのだから、その場所で人が死ぬことはあってはいけない。国連が先頭となって活動するべきだと思う。そうすれば、イラクの人たちが本当に期待している日本の民間のボランティア団体がイラクにいってイラクの人たちのために活動できる。

□生徒お:
今回国や立場の違う8人の意見を聞いて、自分はHの日本のジャーナリストの意見に賛成です。渡航自粛勧告が出ているけれども、そこで誰もいかなかったら、真実のイラク戦争はでてこないとおもう。アメリカや日本の政府の表面的な発表しか自分達の耳には入ってこなくて、アメリカは正当な戦争をしていると勘違いしてしまう。 今回の人質3人の事件にしても、この3人が悪いわけではなく、一言で誰が悪いとはいえないけど、この3人を責めるべきではないと思う。 政府は3人の行動をせめているけど、人質にされた3人はイラクの人たちのために活動していたのに、もしこの三人がその支援活動をやめて帰ってきてしまったら、その支援をうけていたイラクの人たちは見殺しにされてしまう。 反対な意見としてはGの日本の防衛庁長官の言葉です。防衛庁長官なのにこんな発言をしていいのか。たしかに渡航自粛勧告は出ているけど、この発言はあまりにもひどい。こんな人が日本の防衛庁長官ということを知っていて、もし自分がイラクに行くことになったら安心して活動できない。NGOやフリージャーナリストの人達をバックアップできる政府になってほしい。

□生徒う:
私はイラクに行く行かないは個人の責任だと思います。危険だというのを知っていて行ったんだから拘束されてしまったことに対してはこの人たちは文句はいえないと思います。 しかもせっかく助けてもらったにもかかわらず、まだイラクに残ってたいとかいうのはどうかなぁと思いました。それなら政府だって、せっかく助けたのに!とか思うしそれなら別に助けてあげなくたってよかったんじゃないのかなぁ?とも思いました。拘束された人たちは助けてもらった事に対してどう思ってるのかしりたいです。大きなお世話だったとかって思ってるのかなぁー??

□生徒あ:
Aの犯行声明文の、「イラク国民の命については敬意を払っているといえるのだろうか。」というのはなんだか違う気がしました。自衛隊はイラクの人のために行っているのだから。でももしかしたらこれは表向きだけなのかも知れないけれど。 Bの人の意見は、「たしかになぁ」と思いました。でもどこか引っかかる感じがします。それがどこなのかはわからないけど・・・。 Cの人の意見が一番自分に近いかなぁと思いました。一見否定的な文だけれど、文頭に「ただ、」とついているで、これはBの人の意見も正しいと思うけど、と言う風に私にはとらえられたからです。 Dはなんだか言っている事自体がよくわかりません。三人の行動に対して否定的なのか肯定的なのか、この意見がなにを言いたいのかがちょっとよくわかりません。言葉が難しい・・ Eの意見は、私は日本がイラクに派兵したからといって憲法に反する行動をとったとは思えません。日本の憲法は私の知るかぎりでは「戦争はしない」ということで、自衛隊がイラクに行ったからと行って、行っただけであってあくまでも戦争をしに行っているわけではないので。 Fの意見もわかる気がします。でも自衛隊だけでは支援活動は不十分なのではないかなと思いました。 Gの人は最初の一文と二文(?)はわかりますが、最後の文がちょっとおかしいのではないかと思いました。

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