DEAR 開発教育協会

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Global Express 学校での実践レポート
「アテネ五輪」都内私立中学校での授業(2004年8月31日実施)

時事問題を教室へ-グローバル・エクスプレス

DEAR会員がグローバル・エクスプレスの教材をもとに実施した授業の様子をレポートします。教師の発問、生徒たちの反応など、授業づくりの参考にしてください。

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 「ワールドカップ」都内私立高校での授業(2006.06)
 「アテネ五輪」都内私立中学校での授業(2004.08)
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実施概要

■実践:都内私立中学校1、2年生(津久井綾子教諭)
■実践日:2004年8月31日(火)
■授業形態:学習合宿での社会科特別授業(3時間続き、途中休憩あり)
■生徒数:70人(1グループ5~6名で実施)
■対象生徒や実施時間等を考慮し、内容を多少アレンジして行った。
■教材:「サンプル版 第3号 アテネ五輪」

1.部屋の四隅(アクティビティ1を利用)

■教員 「オリンピックが終わったばかりだけど、オリンピックはどうだった?」
(1)すごく面白かった→生徒「北島(選手)とか、日本選手の金メダルに感動したから」
(2)まあまあ面白かった→生徒「遅い時間で見られないものもあったから」
(3)つまらなかった→生徒「野球で金メダルが取れなかったから」
(4)見ていなかった→生徒「興味が無い」「家族の誰も見ていない」

■教員 「オリンピックを観戦する時はいつも日本選手を応援する?」
(1)いつも応援した→生徒「日本人だから日本選手を応援するのは当たり前だと思う」
(2)だいたい応援した→生徒「好きな外国の選手がいる時は、その選手を応援した」
(3)ほとんど応援しなかった→生徒「日本とか外国とか関係ない」「熱心に応援していない」
(4)全く応援しなかった→生徒「ほとんど見なかった」

■教員「在日コリアン(在日韓国・朝鮮人)が日本選手団に入れないのは仕方ないと思う?」
(1)仕方が無い→生徒「日本人ではないから」
(2)どちらかといえば仕方が無い→生徒「考えたことが無かったのでよく分からないが」
(3)どちらかといえば入るべき→生徒「日本に住んでいるから」
(4)必ず入るべき→「在日の歴史を考えると、そう思う」

*在日コリアンを良く知らない生徒もいたので、移動前に説明。
*どの選択肢も選ばず、部屋の中央に留まった生徒あり。「在日コリアン自身が選べるようにすべき。日本選手団に入りたいなら入れたほうが良いが、入りたくないかもしれないので、どうすべきとは言えない」とのこと。
*最後に「皆が在日コリアンだったら、今と同じコーナーに居るかな?」と問い掛けてみた。それぞれ少し考えている様子だった。

2.開催地を知る

■教員 「今回のオリンピックは何回目の開催だったかな?」
□生徒 「何回目だっけ?」「28回目じゃなかった?」「オリンピックっていつ始まったの?」・・・

■教員 「(回・実施年・開催地・種目数・参加国数・メダル獲得数・中止理由などが記された一覧表を配布し、)この一覧表を見て気がついたことをグループで話してみよう。」
□生徒 「開催地はヨーロッパばかり」「イギリスやアメリカでは何回も開かれている」「アジアでは少ない、アフリカでは開かれていない」「戦争で開催できなかった時もある」「メダル獲得数の多い国は豊かな国か社会主義の国」「世界中の人が平等に競いあう大会という感じではない気がする」・・・

■教員 「色んな発見があったみたいだね。(…オリンピックの年表を見ながら、当時の世界情勢と各回の特徴的なことを紹介し、オリンピックの歴史を振り返った。)」

3.フォトランゲージ (新聞に掲載された写真記事を元にグループで取り組んだ)

(1)キャプションをつけよう
「アテネで5000人反対デモ」という見出しの新聞記事の写真部分を配布

■問1:ここはどこでしょう?なぜそこだと思うのですか?
□生徒 「イラク、彫の深い顔立ちだから」「ドイツ・イタリア・モスクワ、旗の文字が英語ではないので」「アメリカ、何かを訴えているが強そうだから」「アテネ、横断幕にオリンピックの絵が描いてあるから」
■問2:この人たちはどのような人たちで、何を訴えているでしょう?
□生徒 「イラク国民、イラクで開催を」「オリンピックをやって欲しくない」「アメリカ人、ドーピング反対」「アテネの人、アテネでやるな」「ドイツ市民、ベルリンの壁を壊せ」「五輪のマークが手錠になっているので人権侵害反対、自由をよこせ」「アテネの人、オリンピックを応援しよう」「イラクの人、戦争中だからオリンピックを止めて」
■問3:写真にキャプションをつけましょう
□生徒 「STOP!オリンピック!」「アテネで訴える人々」「オリンピックの応援を求める人々」「アテネでのデモ行進」「人々の訴え」

(2)想像してみよう
アテネの競技会場に隣接する軍用地に新設された、会場警備用の地対空ミサイルに関する記事(写真の上方に写されているミサイル部分を隠してある)

■問1:ここはどこでしょう。また、なぜそこだと思うのですか。
□生徒 「国際連合、色々な国旗が並んでいるから」「アテネ、壁の模様と各国の旗から」「板門店、有刺鉄線が張られていて、テレビで見た板門店の様子に似ているから」「アテネのオリンピック会場/選手村、国旗と風景から」
■問2:隠されている部分を想像して、点線の枠内に書きましょう。
□生徒 「色々な国旗」「アテネの神殿」「のどかな空や草原」「ミサイルを持つ警備兵」「色々な国旗(日本の国旗が破かれている、イラク戦争に賛成した反日感情を持つ人による行為)」「変哲の無い壁」「大きな監視カメラ」
■問3:隠されている部分が分かってどんな気分がしましたか。
□生徒 「驚いた」「怖い」「平和なオリンピックのイメージが壊れた」
■問4:なぜそれがそこにあるのでしょう。
□生徒 「選手を狙っている」「オリンピックを攻撃しようとしている」「警備をしている、ニュースでやっていた」

4.アテネオリンピックの光と影(アクティビティ2を利用)

■アテネオリンピックに関する記事が記載されたカードを、光と影に分ける。
*時間の関係でカードは15枚使用、中学1年生でも理解しやすい内容のものを選んだ。
*分ける前に、カードの内容を1枚ずつ簡単に説明した。
*時間が無く、グループ毎に結果を発表してもらうことができなかった。

■これまでのアクティビティの感想を各自小さな紙に書き、グループで話し合った。
□生徒 「日本が危険度ランキングで2位になっているのは驚いたが、良く考えるとイラク戦争に賛成したので仕方ないと思った」
□生徒 「日本がテロに狙われて欲しくない」
□生徒 「オリンピックはもともと休戦のために行われていたなんて驚いた」
□生徒 「色々なことが分かった、複雑な気持ちになることもあれば嬉しい気持ちになることもあった。」
□生徒 「オリンピックって陸上とか水泳しか面白いものがないと思っていたけれど、色々と知れて興味がもてるようになった」
□生徒 「アテネは平和な国だと思っていたのにミサイルが配置されていたなんて少しガッカリした」
□生徒 「オリンピックが開催されるには億単位のお金や相当な警備が必要だとは知らなかった、今度からは角度を変えてオリンピックをみようと思う」
□生徒 「一見とても華やかに見えたオリンピックもテレビでは知ることができない裏があることがショックでした。スポーツマンシップにのっとった平和の祭典のはずなのに、国同士の関係が関わってくるのはおかしいと思いました」
□生徒 「オリンピックは今までTVで試合を見ることしかしていなかったので、違う視点からオリンピックを見ることができて結構楽しかった。興味を持った問題もあったので調べてみたい」
□生徒 「オリンピックを開催するために開催国が大きな経済的負担を負わなければならないのは良くない、世界各地から寄付を募ればアジアやアフリカでも開催できるのでは」・・・

■これまでのアクティビティを振り返り、「2008年北京オリンピックで取り入れて欲しいアイディア」を考えた。小さなカードに書き、そのカードを大きな模造紙に貼って公開する。
*理想のオリンピックをグループ毎に考えてもらう予定だったが、時間不足のため内容変更。理想のオリンピック作りこそ、生徒にぜひ行ってもらいたかったことだったので残念。
□生徒 「在日コリアンのことも考える」
□生徒 「最近は毎日戦争のニュースばかりなのでとても嫌な気分になる。せめて開催期間中は戦争をしない」
□生徒 「敗者復活戦を行う」
□生徒 「放送権料を下げる」
□生徒 「世界中の人が楽しめるよう放送権料は無料にする」
□生徒 「貧困地域に食料を配布するキャンペーンを行う」
□生徒 「お金のかからないオリンピックにする」
□生徒 「少数民族の人にも多く参加してもらう」
□生徒 「選手たちがオリンピックで戦争反対を訴える」
□生徒 「全ての国が同じように参加できるようにする」
□生徒 「パラリンピックとの共同開催」
□生徒 「次はアフリカで開催する」
□生徒 「いくら反日感情が高くても、日本の国歌が流れる時にはブーイングなどをしないでほしい」
□生徒 「オリンピックで使用した会場を閉会後に壊さず有効利用して欲しい」
□生徒 「古代オリンピックを見習って、開催期間は世界中で停戦をする、薬物に頼らない」
□生徒 「これから永久に戦争をしないと誓うまでオリンピックを開催しない」
□生徒 「平和の旗を立てる、握手と拍手で気持ちよく閉幕する」
□生徒 「金・銀・銅だけでなく頑張った人にも賞を与えて努力を認める」
□生徒 「平和の中で、もっと派手に楽しく行ってほしい」・・・

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