DEAR 開発教育協会

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Global Express 学校での実践レポート
「ワールドカップ」都内私立高校での授業 (2006年6月13日実施)

時事問題を教室へ-グローバル・エクスプレス

DEAR会員がグローバル・エクスプレスの教材をもとに実施した授業の様子をレポートします。教師の発問、生徒たちの反応など、授業づくりの参考にしてください。

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 「ワールドカップ」都内私立高校での授業(2006.06)
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 「イラク人質事件を考える」神奈川県立麻生高校での授業(2004.04)


実施概要

■実践:都内私立高校2年生(地歴公民科・津久井綾子)
■実践日:2006年6月13日(火)
■授業:現代社会 1時間(50分授業)
■生徒数:40名(4名×10グループで実施)
■教材:「サンプル版 第6号 ワールドカップ」

1.ワールドカップ参加国(32カ国)の国旗を当てよう<5分>

(1)ワールドカップ参加国の国旗(国名は伏せておく)をカラー印刷したものを用意し、各グループに人数分配布。どこの国の国旗か、考えさせる。

(2)全参加国の国旗・国名を載せた正解プリントを配布。
→生徒の反応:サッカーに詳しい生徒は嬉々として国名を当てていた。殆ど正解できない生徒も目立ったが、知らない国旗の多さに驚いたり、デザインの類似性などから互いの歴史的知識等を交換したりする様子も見られた。  

2.数字で見るワールドカップ参加国<10分>

(1)ワールドカップ参加国の「人口」「GNP」「FIFAランキング」「平均余命」データを、項目名を伏せた一覧(降順)にしたプリントを配布。それぞれ何のデータか(項目名)当てさせる。

(2)いくつかのグループに答を発表させながら、正解を伝える。
→生徒の反応:比較的わかり易いデータにしたので、正解できたグループも多かった。日本の対戦国とのGNP格差の大きさや、アンゴラの40歳という低い平均余命などに驚く様子も目立った。「なぜ平均余命が低いのか」と問いかけ、世界情勢・国際社会の諸課題といった部分にも考えを及ばせた。アフリカ諸国のエイズ感染率や内戦の状況、アメリカについては生活習慣病など、様々な発言があった。

3.サッカー選手の移動<10分>

(1)サッカー選手の移動(参加国の代表選手のうち、何人が海外でプレーしているかを示す数字の一覧表)を配布。何を表しているか考えてもらった。いくつかのグループに答を聞いた後、正解を伝え、人の移動による功罪を考えさせた。

(2)その問題のひとつでは、ということでサッカーにおける人種差別を扱った新聞記事(アフリカ系ドイツ人選手が排斥キャンペーンを受けているという内容)やサッカー選手による人種差別撲滅運動(ナイキ所属選手によるリストバンドを用いたキャンペーン)を紹介した。

4. 私の日本代表チームを作ろう<20分>

(1)「日本語が話せる」「両親が日本人」「日本を愛している」など、日本代表の条件項目を記したカードをグループに1セットずつ配布。各項目が代表選手を選考する上で妥当かどうか話し合い、新しい代表チームの基準を作る。

(2)全体でシェア。いくつか特徴のある(例えば、「ほとんどの項目がOK」としているグループなど)グループに絞って発表してもらう。

(3)なぜ、その基準が選考する上で相応しいのか(あるいは相応しくないのか)ふりかえる。
→生徒の反応:3の②を行った影響もあってか、殆どのグループが「顔・格好が日本人に似ている(肌の色も含む)」のカードを条件としなかった。サッカーが美味く、日本を愛していれば肌の色や国籍は問わないというグループが目立った。しかし私のほうから「全員が黒人、白人といったチームでも日本代表だと思って熱心に応援するか」「日本を愛しているか否かは何で判断できるか」など、逆説的な質問をすると、考え込む姿も目立った。

5. 振り返り<5分>

すべてのアクティビティを振り返り、小さな紙に感想を書いてもらった。以下、その一部である。

  • いろんな事がわかった。サッカーなど身近なことでも、あまり知らない事があって軽くびっくりした。平均寿命が40歳はびっくりした。もっと医療が発達してほしいと思った。
  • 差別について考えさせられた。差別がなくなってほしいと思う。
  • この授業を通して「愛国心」とかについて考えることができてよかった。サッカーの新聞記事を読んで、差別をなくす運動がもっと活発になればいいと思った。
  • いくら目の色や肌の色が違くても、日本のチームに入って良いというのが私のグループの意見だったけど、全員ベッカムみたいな人たちだったら、日本のチームとは言えないような気もしてきた。日本とクロアチアのGDPの差がとても大きくて驚いた。
  • 意外と知らない国名や国旗が多かった。日本の寿命はすごいと思った。
  • 愛国心を持つことは大事だけど、自国家主義になりすぎて人種差別を作ってはいけないと思った。国際化が進んでさまざまな国家の人と知り合い、交流を深めていければ行くほど、国家の間で争いがおこったりすることはとても悲しいことだと思う。でもワールドカップやオリンピックのように何かひとつのことを共有して楽しむことはとても重要だと思った。
  • 愛国心は大事だと思うけど、強制するものではないと思う。現に私たちは誰に教わったわけでもないけどそれなりに自国が好きだから。今日の授業は楽しかったです。
  • 人間はみんな人間でみんな少しずつ違ってたり、大きく違ってたりで、分けたりするのは難しいなーと思いました。分ける意味とかもよくわからなくなりました。でも分けなきゃいけない世の中で、どうすればいいとか答えはないから、先生は自分で考えさせてくれてるのかなと思いました。
  • 肌の色とか人種とかはあんまり関係ない気がするけど、サッカーのチーム全員が他国籍だったらと考えると、日本のチームって感じがしないし、応援する人も減ると思う。やっぱり日本で生まれた人が、国のために戦うっていうのは大切だと思う。国のチームにはその国の人が入っていないと、国がばらばらって感じがする。
  • いまだに人種にこだわっている団体が活動しているのはいいことではないと思う。何で肌の色に文句をつけなければいけないのか。アフリカの人たちの平均余命が日本の半分くらい、40~50代だというのに驚いた。日本がいかに平和な国かわかった気がする。日本を愛してるって、どういうことなんだろう。
  • たのしかったです。
  • 平均寿命が日本が世界一で嬉しかった。サッカーでも人種差別があることが残念だった。
  • 今日みたいな授業は楽しく学べるので頭に入りやすく友達と意見交換もできるので最高でした。
  • 人種についての考え方は難しいと思った。
  • サッカーわかりません。あと、国とか国旗とか全く…愛国心って、忠誠を誓うって感じで昔の日本みたくて、少し怖いと思う。
  • 肌の色や紙の色などで選手になれないというのは絶対におかしいと思ったけれど、11人全員が黒人だったら、それは抵抗があると思った。でもやっぱりこういうのではずされてしまうのは変だと思うし、結局どうしたらいいのか答えが出せなかった。
  • 日本人は愛国心薄いらしいけど、無理に持たせてどうするの?って感じだ。
  • 肌の色、髪の色は日本人と似てなくてもいいという条件を出したけど、実際に先生に「じゃあ11人全員がロナウジーニョみたいだったら?」と聞かれて、やっぱりそれは日本として応援できないかも…と思った。半分が日本人で半分が外人さんでもあんまり…って感じになる。自分はあまり気にしてないと思っても、実は肌の色とかを気にしてるんだなと思う。
  • 人種差別は悪いことだと今、世界の人々は口にしてはいますが、果たしてどこまでが人種差別でないのかというのは案外わかっていないのかもしれません。生きていること自体が素晴らしいという国もたくさんある中、何が一番大事なことなのかを世界の人々それぞれが考えていく必要があると思います。

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