DEAR 開発教育協会

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震災からはじまる学び

<岩手|ワークショップ「東北STAND UP―東日本大震災わたしの気持ち―」> 実践レポート

実践者 岩手県立不来方高等学校 鷹觜洋子先生
実践の場 実践者主催のワークショップ@アイーナ(岩手県民情報交流センター)
対象 高校生~一般(高校生4人 大学生4人 教員3人 一般4人)
日時 2011年6月25日(土)10時~12時(120分)
テーマ グローバル・エクスプレス メディア
教材 グローバル・エクスプレス『東日本大震災』(DEAR)
GAGLE(仙台在住のヒップホップグループ)「うぶこえ」
ポスタープロジェクト「復興の狼煙」
・自分が撮影した写真

ねらい

被災地である岩手県人の我々は、普段、このテーマを深く話しあうことは余りに身近に悲劇が多すぎて避けてしまう傾向にあります。がそのために自分の気持ちを押し殺したまま自己完結している気がして、このテーマに取り組んでみました。気持ちを共有することで自分の気持ちを確認し自分たちが「これからの岩手を変えていくんだ」という明るい決意に繋げたかったのです。

展開

東北STAND UP―東日本大震災わたしの気持ち―

(1)アイスブレイクによって4人のグループに分ける。

(2)小さめのパネルの表裏に記入、グループで発表し合い、気持ちを共有する。
A 初めてテレビ映像で見たときの衝撃(ほとんどの人は3日後)
B 今、一番許せないこと

(3)映像と音楽であの日を静かに振り返る。
ポスタープロジェクト「復興の狼煙」をパワーポイント化して流しつつ、GAGLE「うぶこえ」を流す。立ち上がる人々の力を感じ、ポジティブな気持ちを寄せる。

(4)仙台出身のミュージシャンGAGLE(ガグル)の歌詞(別紙参照)を用いて自分が最も同じ気持ちだというところを選び、それはなぜか、を話し合うことで自分の心にある本当の気持ちを確認、それを模造紙に書き出すことや、発表することで気持ちを整理し次ステップに繋げる。
※DEAR教材「わたしの気持ち」を全く別の素材から導きました。

(5)被災者である陸前高田市気仙中の中里先生から「その日」から「今」に至るまでを語っていただく。

(6)中里先生の話を踏まえつつ、最後に「わたしが変えたいこと」を分野別に考え、一人一人発表、決意を述べる。

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参加者の声

東北STAND UP―東日本大震災わたしの気持ち―

(2)A.3日後、テレビ映像見て

  • 最初は前向きになれず日本は終わりだと思った。絶望感で一杯だった。
  • 泣きたくても涙がでなかった。
  • これ岩手?!うそでしょ?
  • 沿岸に住んでる友人達は?
  • 3日間何にも知らなかった!!

(2)B. 許せなかったこと

  • 他人を思いやらず買いだめする都会の人たち。
  • 被災地を訪れる有名人の態度、マスコミの態度。
  • 自衛隊の人たちが笑いながら遺体収容をしていたとき(周りの人の補足でそれはそこまで気持ちが追い詰められたのでは?ということで本人は怒りが収まった)
  • 地震で学校がしばらく休みになったことで「ひま~」という言葉を友人が言った。
  • 震災2週間で、やっと首都圏への高速バスが開通し(新幹線は壊滅)、東京の妹の家に行ったとき、東京はパンもガソリンも何もかもあり、人々は普通に生活していた。 「私たちは何なんだ!」と惨めで情けない気持ちになった。
  • 「ガンバレガンバレ」と声を出す人に限って口だけだ。
GAGLEの「うぶこえ」

(3)歌詞の共有

GAGLEの「うぶこえ」の歌詞は右図参照
※了解を得て掲載しています

「俺たちは内陸部 だから違うか? 3日後 テレビつけて驚いた」
 ・やはり内陸と沿岸は違う。そして今また、その格差が広がろうとしている。内陸の人は結局、関東関西の人たちと同じ第三者になっている。復興を願う気持ちは本当に同じくらい強い思いなのだろうか?
 ・内陸も「再生への思い」は一緒だと分かってほしい。共に立ち直っていきたい。

「家族を守る母親の愛 無い道切り開く男のPRIDE」
私(実家が被災地:宮古)の兄は消防署員で震災から10日間は睡眠も風呂も無い生活で遺体処理などの仕事を頑張った。今、男性はみんな外に出て岩手を作り直そうとしているし、女の人はこの物資不足の中で食糧確保、家族を守ろうと必死になっている。

「余震が来る 頼りはラジオ情報 毛布くるまり暖とる」
まったくこの通りの生活だった。

「俺たちに必要なのは哀れみじゃない 光 明かり 力」
復興するのは結局人間!力が必要だ。人間力を出していきたい。

「自然は大きい 自然は大きい」
どうしようもないと無力感でいっぱいだった。怒りの行き場がないのが辛かった。

「人は決して無力じゃないぜ 逞しい」
3ヶ月たった今、少しづつだが気持ちが上向きになり、何か始めようという気持ちになっている。1ヶ月前はそんな気持ちが起きなかった。人間はやはり逞しい。


(6)わたしが変えたいこと ※DEARの「これからの世の中」をアレンジしました

自分

  • 人の意見に流されない、自分で判断できるように。
  • 夏休みにイベントを企画したい。長く細くやっていきたい。
  • 「あれをやろう、これをやろう」とは声高に言わず淡々と身の回りの出来ること(節電でもなんでもいい)を継続して実行していきたい。
  • あの時感じた「感謝」の気持ちを持ち続けたい。
  • まだまだ自分に出来ることはある。それを探して長く実行していく。
  • 知らなかったり学ばなければならないことがたくさんある。学生としてしっかり学んで行きたい。

家族・友人

  • 支え合う環境作り。
  • 緊急時の連絡方法を構築する。

学校・職場

  • 夏休みボランティアの企画。
  • 子供の心のケアに携わりたい(教員志望なので)。

  • 奇抜なアイデアが必要、思い切った施策で県を活性化。
  • 日本や世界へ主張していこう。

  • 国会議員を減らす。
  • 日本人同士でケンカしてる場合か?!東北へ来させ、働かせる。
  • 市民が率先して動いている。市民主導で国を動かせないか?
  • ある程度地方のことは地方で出来るシステム作り。

世界

  • 軍隊の有効活用(戦争でなく軍は援助活動専用員とする)。
  • 日本独特の「ゆずりあい、助け合いスピリット」を世界中に広める。
  • JICAに寄せられたメッセージを見て世界は近く、繋がっていると感じた。これをチャンスに変え密に世界と繋がりたい。

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全体の感想

  • 今回のワークで震災直後のことを明確に思い出し、そのとき感じたことが薄れつつあることに気づいた。辛い思いも多かったが震災があったからこそ気づいた暖かい気持ちをたくさん思い出した。そのときの気持ちを忘れずに生活していきたい。
  • 中里先生の話は本当に当事者ならではの話で胸を打った。ニュースで聞く話と実際は大きな隔たりがあり、本当の様子を伝えていかねば、という思いが強くなった。身近な人々から伝えて行こうと思った。
  • 気持ちを「前向きに切り替える」ことと「震災を忘れる」ことは全く違う。
  • 私たちは忘れることなく、本当に細く長く沿岸部をサポートしていきたい。
  • 再生への願いは意識していないと時間と共に忘れ去ってしまう。常に意識し、今から出来ることを考えていきたい。
  • 新しい考えに気づけて良かった。
  • 東北の人はおとなしい、と言われるが、それだけに胸に秘めるものは強く大きい。大それた事でなくていいのでまずは「大変だ」という前に実行したい。
  • 多くの人の意見を聞けて本当に参加して良かった。
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実践者の声

切り口次第で気持ちを逆なでしてしまう恐れもあり、始まる前は「腫れ物に触る」 感じでかなり戸惑った。皆、知人を亡くすなど、何らかの「傷」を持っているのだ。 しかし進行するにつれ、気持ちを共有することが今後立ち上がる力になると感じた。中里先生の話は、涙をこらえるのが大変だったが皆で共有しているんだと思うと「それを 乗り越えていこう」という気持ちにもなった。心から感謝したい。  申し訳ないが福島原発に関しては一切話題が出なかった。全国的な視点と被災地の狭 い範囲での人々の話題は全く違うのだ。このワークの結果は岩手、宮城以外では余り参考にならないだろうが、確実に若者に「良き気持ち」をもたらすことになったと思う。 素材を提供してくれたDEARの方に深く感謝している。

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