DEAR 開発教育協会

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英国における開発教育-2 「CGEの成り立ち」

グローバル教育センターの成り立ち

グローバル教育センター

岩崎:
はじめに、グローバル教育センター(CGE、以下「センター」、*1)がDEARと同じく今から25年前に設立された時の経緯や、これまでの活動についてお伺いしたいと思います。

マーゴ:
「センター」は、1970年代のワールド・スタディーズ・プロジェクト(*2)の経験を基礎に、1982年にデイビッド・セルビー(David Selby)によって設立されたものです。当初は、ワールド・スタディーズ・ティーチャー・トレーニング・センター(World Studies Teacher Training Centre, 以下「トレーニング・センター」)という名称で、ヨーク大学内に置かれていました。ワークショップ・アプローチによる教員研修を通じて、小学校や中学校へのワールド・スタディーズの導入を目指しました。デイビッドは最初の1、2年間は、当時ヨーク大学教育学部の教授で、人権教育者としても知られるイアン・リスター(Ian Lister)の協力を得て独自に活動していたと思います。そして確か1984年にグラハム・パイク(Graham Pike)が世界市民教育協議会(CEWC,*3)から移ってきました。

「トレーニング・センター」は、発足後すぐに複数のNGOや財団などから助成金を受けて研修プロジェクトを実施し、その成果が1988年にGlobal Teacher, Global Learner (*4)として発行されました。この研修プロジェクトを通して「教員とともに学ぶ」ということを経験し、それが「トレーニング・センター」の方法論として定着しました。つまり、机上で教材を作るのではなく、教員とともに現場でアイディアを出し合いながら教材を作るというスタイルです。こういったやり方で教員研修をサポートしてきました。それは、教室の現実の状況ともつながっており、非常に生産的な方法だと考えています。

1985年には、「トレーニング・センター」から「グローバル教育センター」に改称されました。その理由は、教育を取り巻く状況が変化したということです。ただ私は1988年から「センター」に参加したので、これはあくまでも私の理解です。名称が変わっても、ワークショップは続けられました。デイビッドもグラハムも、アメリカのグローバル教育の実態調査に基づいて、さまざまな活動を展開しました。グローバル教育という呼び方自体、当時はカナダやアメリカでよく使われていた用語ですが、二人は北米のグローバル教育界の主要な人物や文献に学びながら、英国にグローバル教育を導入したのです。

マーゴとグローバル教育センターの関わり

岩崎:
マーゴ自身は「センター」とはどのような関わりを持たれてきたのですか?

マーゴ:
私と「センター」との関係は、1988年に当時の「インナー・ロンドン教育庁」(ILEA,*5)の「マルチエスニック・センター」から移ってきたことに始まります。「センター」のもっともアクティブな活動は5人のスタッフ(*6)によって担われ、サポートスタッフが3人いました。私たちは地方教育庁(LEA,*7)とともに、教材開発だけでなく、大学を通じて単位を得られる2年間のパートタイムのディプロマ・コースを作ってきました。地元の教師などを対象に単位認定を行い、非常にうまくいきましたが、教育を取り巻く財政状況が変わりました。

1990年代に入り、このコースは財政支援がなくなり、停止せざるをえませんでした。助成金制度が変わり、地方行政は学校を支援するための財政を持たなくなりました。学校が教師を直接支援するか、教師自身が学費を払わなくてはなりませんでした。教師は自分で学費を出すのだから、ディプロマではなくて、もっと高いレベルの修士課程に進みたいと思うようになりました。ディプロマは、アカデミックなコースというよりは、もっと実践的なコースだったからです。

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  1. 「英国における開発教育」トップページ
  2. CGEの成り立ち
  3. CGEの転換点とは?
  4. 開発教育、ワールド・スタディーズ、グローバル教育の背景
  5. 開発教育、ワールド・スタディーズ、グローバル教育の違いとは?
  6. 日本との関わり
  7. 市民教育の現状と今後

*1:Centre for Global Education(CGE) http://www.centreforglobaleducation.org
*2:World Studies Project。1972年にワンワールド財団(One World Trust)が発足させた研究プロジェクト。70年代は、後述のロビン・リチャードソンが、80年代はサイモン・フィッシャーやデイビッド・ヒックスらが中心となった。
*3:The Council for Education in World Citizenship http://www.cewc.org/
*4:邦訳書は『地球市民を育む学習』(中川喜代子監修、阿久澤麻理子訳、明石書店、1997年)
*5:Inner London Education Authority。当時、ロンドンの中心部(インナー・ロンドン)にある13の行政区を管轄していた地方教育庁(LEA,*7)。1990年には廃止され、各行政区にLEAが置かれることになった。
*6:当時の「センター」には、他にスーザン・ファウンテン(Susan Fountain)やスーザン・グレイグ(Susan Greig)も在籍していた。
*7:Local Educational Authority。日本の教育委員会に相当する教育行政機関。イングランドには、各行政単位に応じて約170のLEAがあるという。


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