DEAR 開発教育協会

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英国における開発教育-4 「開発教育、ワールド・スタディーズ、グローバル教育の背景」

開発教育、ワールド・スタディーズ、グローバル教育の背景

岩崎:
現在の英国のグローバル教育には、どのような思想的実践的な背景があるのでしょうか。たとえば、デイビッド・セルビーたちの影響は?

マーゴ:
デイビッドやグラハムが紹介していたグローバル教育は、非常にアメリカ的ではありましたが、ある一定の教授法としてのスタイルを確立しました。それは今日のグローバル教育だけでなく、開発教育にも影響を与えたのではないでしょうか。 しかし、80年代の開発教育やワールド・スタディーズを教育運動として見た時、パウロ・フレイレに象徴される「南」の思想家や実践家の影響を受けています。特にフレイレは(*12)、オックスファム(OXFAM) やクリスチャンエイド(Christian Aid)やカフォッド(CAFOD)といった主要な開発NGOの活動を通じて、途上国の開発現場から入ってきて、開発現場と開発教育をつなぐものとして大きな影響を与えました。フランスにいたアウグスト・ボワール(Augusto Boal, *13)も大きな影響を与えました。これらのことは1970年代の第三世界との連帯運動からの影響であるとも言えるでしょう。そして、70年代から80年代にかけてワールド・スタディーズ・プロジェクトを率いた ロビン・リチャードソンやデイビッド・ヒックス(David Hicks, *14)の影響は今日でも大きいと思います。

最近の新しい動きとしては、ノッティンガムでの開発教育の実践から発展した「対話と探求のための自由空間」(OSDE,*15)というプロジェクトがあります。そのコーディネーターでブラジル出身の ベネッサ・アンドレオッティ(Vanessa Andreotti, *16)は、開発教育のここ数年の動きに非常に批判的で、植民地主義を通じて権利を剥奪された人々の声を聞くという開発教育の原点である姿勢を開発教育は失いつつあるという批判をしています。

岩崎:
「脱学校論」で有名なイヴァン・イリイチ(Ivan Illich)からの影響はあったのでしょうか?

マーゴ:
個人的に影響を受けた人はいるでしょうが、開発教育やワールド・スタディーズの運動にどのくらいの影響を与えたかは定かではありません。いずれにしても、CGCやDEARが取り組んできた教育運動がひとつ理論的基盤から成り立っているのではないということは非常に興味深い点です。さまざまな理論的な基盤や思想的な背景がありますが、それらが究極的には参加型学習の幅広い視点を形成しているのです。開発教育やワールド・スタディーズ、そしてグローバル教育が少しずつ異なる歴史・方法・強調点を持ちながらも参加型学習へと向かい、より効果的に世界を理解するのに役立つものになっていったと思います。

5.「開発教育、ワールド・スタディーズ、グローバル教育の違いとは?」へ


  1. 「英国における開発教育」トップページ
  2. CGEの成り立ち
  3. CGEの転換点とは?
  4. 開発教育、ワールド・スタディーズ、グローバル教育の背景
  5. 開発教育、ワールド・スタディーズ、グローバル教育の違いとは?
  6. 日本との関わり
  7. 市民教育の現状と今後

*12:ブラジルの教育者。成人識字教育の実践で知られ、その教育思想は各方面に大きな影響を及ぼした。邦訳書には『被抑圧者の教育学』(亜紀書房、1979年)や『伝達か対話か』(亜紀書房、1982年)などがある。
*13:ブラジルの民衆演劇運動家。フレイレと並んでラテンアメリカの文化運動を支えた実践者の一人である。邦訳書に『被抑圧者の演劇』(晶文社、1984年)がある。
*14 :ロビン・リチャードソンの後、80年代にワールド・スタディーズ・プロジェクトのナショナル・コーディネーターを務めた。
*15:Open Spaces for Dialogue and Enquiry。http://www.osdemethodology.org.uk/
*16:ノッティンガム大学の「社会と地球の正義研究センター」(CSSGJ, Centre for the Study of Social and Global Justice)の研究員兼コーディネーター。現在はニュージーランドのクライストチャーチにあるカンタベリー大学の客員研究員。


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