DEAR 開発教育協会

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戦争・平和 <実践事例>

解説編-talk for peace!  実践事例-戦争と女性を考えるワークショップ 

戦争と女性を考えるワークショップ・体験セミナー
~元「慰安婦」だったレメディアスさんのスケッチから~

フィリピンの元「慰安婦」の一人の女性の人生に具体的に触れることで、戦争が女性に与える影響や、性犯罪被害者への「セカンド・レイプ」の問題などについて考えるワークショップをご紹介します。

実施日時 2002年3月24日(日)14:00~17:00 (3時間)
ねらい ・ フィリピンの元「慰安婦」の女性の戦争前後の体験を描いたスケッチを使って、一人の女性と出会う。
・ 戦争や平和について、ジェンダーの視点から考える。
・ 本教材について意見交換する
対象 一般(中学生以上)16名
準備 ・ 紙(B4人数分、B4横二つ折り10枚、B6人数分×2)
・ ペン等
・ ビデオ
・ スケッチ・セット(11枚)
展開 Ⅰ.自分の「14才」を思い出す 30分
Ⅱ.スケッチのキャプションづくり 40分
Ⅲ.ビデオ上映 30分
Ⅳ.ふりかえり 30分
*休憩 10分
Ⅴ.話し合い 40分
実践者 フィリピン元「慰安婦」支援ネット三多摩・ワークショップ・チーム(加藤久美子、出口雅子)
〒181-0014 東京都三鷹市野崎3-22-16 ピナツボ復興むさしのネット内
TEL 0422-34-5498 FAX 0422-32-9372 ロラネットのウェブサイト

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Ⅰ. 「14才」を思い出す

最初にアイスブレーキングとして、自分が14才の時のことを思い出し、絵にする。

  1. B4の紙を一人一枚ずつ配布。
  2. 「14才」のときの自分(何に関心があったか、何を悩んでいたか、どんな遊びをしていたか...)を思い出し、絵を描く。
  3. 2人組をつくって、絵を見せ合いながら自己紹介する(何組か交替して行う)。

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Ⅱ. キャプションづくり

フィリピンの元「慰安婦」の女性、レメディアス・フェリアスさんが、戦争前後の体験を描いた著書「もうひとつのレイテ戦~日本軍にとらえられた少女の絵日記」(竹見智恵子監修、澤田公伸日本語訳、ジーン・ファロン英訳、ブカンブコン発行、1999年)の中からスケッチ11枚を使って、彼女の人生に触れる。

  1. 参加者を5グループに分ける。グループ内で自己紹介する。
  2. フィリピン・レイテ島で、14才の時に日本軍に連れ去られ、強制的に「慰安婦」にさせられたレメディアス・フェリアスさんを紹介。
  3. 家を焼かれ、新しい家をたてる。村に日本兵がやってきた。
  4. レメディアスさんが描いたスケッチ10枚を各グループ2枚ずつ配布。
  5. ストーリーの順に、スケッチを皆に見せながら、つくったキャプションを発表。1枚ごとに、本当のキャプションを読み上げる。

レメディアス・フェリアスさんのストーリー(要約)

  1. 家族の豊かで幸せな暮らし。
  2. 戦争が始まり、日本軍の爆撃から逃げまどう。
  3. 家を焼かれ、新しい家をたてる。村に日本兵がやってきた。
  4. ゲリラ掃討が始まる。父も日本兵と闘う。
  5. 日本兵につかまり、強姦される。
  6. 血だらけのまま、駐屯地に連れていかれる。
  7. 「慰安所」に入れられる。
  8. 掃除、洗濯、強姦の日々。
  9. フィリピン兵に助けられ、米軍の病院に収容される。
  10. 村に戻る。父に「恥ずかしいこと」と言われる。

【その後】1947年に結婚。姉が夫に戦時中のことを話したため、夫は家を出て生き別れに。48年にマニラに出て子守の仕事に。52年に再婚。4人の子どもをもうけたが、60年に夫が死亡。子どもと一緒にごみを集めて暮らした。その後、もう一度、再婚。93年、被害者であることを名乗り出て、フィリピン人元「慰安婦」とその支援者からなるNGOの活動に参加。

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Ⅲ. ビデオ上映

レメディアスさんが2001年10月に来日したときのビデオ記録を上映。(セミナーでのレメディアスさんの証言入り)。

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Ⅳ. ふりかえり

レメディアスさんのストーリーを聞いて、感じたことをまとめる。

  1. B6の紙を一人1枚ずつ配布する。
  2. レメディアスさんのストーリーを聞いて、感じたこと、考えたことをまとめる。
  3. 一人ずつ、ふりかえりカードに書いたことを発表する。(実際には書いたこと以外にもいろいろな質問や意見が発表された)

ふりかえりカードから

  • 悲惨な体験をした上に、その後、愛する家族や夫から酷い仕打ちを受け、彼女は二重に傷つけられたことに、やりきれなさを覚える。さらに彼女の訴えを日本人が拒絶することは三重に彼女の人生を踏みにじることになる。ユダヤ人虐殺もそうだが、加害者が隠蔽を行うような犯罪の場合、何重にも傷つけられ、虐げられることになる。
  • ストーリーを「知っている」と思っていたが、よく見ると心が動かされた。手をしばられ、体中に痛みがあるのに歩かされ、とてもつらい、悲しいと思った。戦後の彼女の人生も印象的。わたしの、自分のことだけ考えればいい14才とはえらい違い。
  • 14才の時の自分に同じことが起きたら、どうやって生きてこれたかわからないなぁと思った。私のまわりにいる日本人の男の人は、人を殺したり、レイプしたりするような人はいない。だけど1940年代に日本の男性が中国や韓国、東南アジアでたくさん人を殺してレイプしたことは事実。何のために戦争したのか。戦争するマシンのように一人一人の人間が育てられた結果だと思う。昔の戦争の被害者を助け、「戦争しない道」をさぐる。それが自分たちのやるべきこと。
  • まだ幼い、感じやすい時期に、ひどい目にあったけれども、その後、立ち直ろうと自分だけで頑張ったことは、とてもたくましい。14才くらいのときの嫌な思い出は、私自身よく心に残っているので、きっと彼女も忘れることはできないだろう。でもひきこもってしまわずに声を出して前に進もうと心がける姿勢は、とても大変だろうけど、いいことだ。

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Ⅴ.話し合い

ふりかえりで出された意見や疑問などをもとに、意見交換する。最後に、この教材やワークショップの手法について感想を書く。

<当日出された意見>
  • ワークショップという形式はとてもいいですね。勉強になりました。是非どこかでフィリピンとインドネシア一緒に何かやれたらなぁと思います。改善点は、最初の自己紹介をもう少ししたかった。ビデオを観るのもとても良かったです。
  • ふりかえりは全員発表することはよいが、途中で質疑になっていたところもあったので、少し工夫が必要な気がします。
  • ビデオの字幕が見えにくかった。
<主催者所感>
  • 最初に自分の14才のことを思い出すことで、レメディアスさんの体験を聞いたときに自分に当てはめて考えることができるのはよかった。
  • ふりかえりカードは、自分のカードを読むのが気恥ずかしかったようだったので、いったんカードを回収して、人が書いたカードを淡々と読み上げる方がよかった。
  • ふりかえりカードで出された意見に対して、その場で意見する人が多かったので、ふりかえりに対してはコメントせず、発表だけを先に終えてから、意見交換する方がよかった。
  • 14才を対象に中学校で実践してもらいたいが、実際には授業で「慰安婦」をとりあげるのは難しいのだろう。高校や大学、市民グループなどで広めていきたい。
(報告:出口雅子)

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「フィリピン元『慰安婦』支援ネット・三多摩」では、このスケッチ・セット(スケッチ、進行マニュアル、ビデオ)を貸出しています(貸出料3,000円)。また講師派遣依頼にも応じていますので、ご関心のある方は、お問い合わせください。

補足説明

ここで紹介している実践は、本教材について意見交換することも目的の一つだったため、最後の話し合いでは教材について意見交換したが、一般に実践する場合は、たとえば「『加害者』の戦後」「イラク戦争と米兵による虐待」「性暴力被害者の人権」「歴史教育・教科書問題」などのテーマを設定して話し合うことができる。

後に本ワークショップの展開方法は以下のように変更された。

  1. 自分の「14歳」を思い出す
  2. スケッチの読みとり
    ※「キャプションづくり」は対象年齢によっては難しいため、何が描かれているかを確認するワークシートを利用したり、小グループで絵を見て、どんな場面か自由に話し合うように変更。
  3. ふりかえり
    ※スケッチのストーリーが衝撃的なので、ビデオを観る前にいったん気持ちを整理するため、ここでふりかえりを入れるよう変更。
  4. ビデオ上映
    ※ビデオは30分だったものを20分に編集しなおした。
  5. ふりかえり
  6. 話し合い

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※ 著作権は(特活)開発教育協会が保有しています。無断で転載や複製を行うことを禁じます。


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