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SDGs時代の地理教育:「地理総合」への開発教育からの提案

概要

2022年度から新設された高校「地理総合」で活用できる開発教育の教材や授業案の提案!

・編 著:湯本浩之・西岡尚也・黛京子
・執 筆:泉貴久・井上明日香・大西宏治・今野良祐・望月浩明・吉崎亜由美
・編集協力:認定NPO法人開発教育協会(DEAR)
・判 型・頁数:B5判・165頁
・発 行:2024年3月31日
・出版社:学文社
・価 格:一般価格(税込)2,310円 会員価格(税込)1,650円
・対 象:教員(とくに高校「地理総合」の担当教員)、地理教員を志望する学生など。

なぜ「地理総合」なのか?

 本書がなぜ「地理総合」に焦点を当てたのか。それは、ひとつにはその学習内容が開発教育と重なり合っていることと、もうひとつは高校では地理教員の人数が不足していることに着目したからです。
 高校の地理歴史科では、2022年度から、従来の「世界史(A・B)」、「日本史(A・B)」そして「地理(A・B)」が、必履修科目の「地理総合」と「歴史総合」、選択科目の「世界史探究」「日本史探究」「地理探究」に再編されました。
 学習指導要領によれば、新設された「地理総合」の学習内容は次のようになっており、とくに、「B:国際理解と国際協力」や「C:持続可能な地域づくりと私たち」は、開発教育の学習内容と重なり合います。

「地理総合」の「内容」

A:地図や地理情報システムで捉える現代世界
(1)地図や地理情報システムと現代世界
B:国際理解と国際協力
(1)生活文化の多様性と国際理解
(2)地球的課題と国際協力
C:持続可能な地域づくりと私たち
(1)自然環境と防災
(2)生活圏の調査と地域の展望

 また、地理はこれまで選択科目であり、これを受験科目とする大学も少なかったことから、地理を履修する生徒も限られてきました。そのため、地理を専門とする教員は歴史や公民の教員に比べて配置や採用が抑えられてきました。しかし、地理総合が必履修科目となったことから、地理教員が不足することとなり、やむをえず、歴史や公民の教員が「地理総合」を担当せざるを得ない状況が生まれています。しかし、そうした歴史や公民の教員のなかには、地理学を学んだことや地理の授業を担当したことがない教員も少なくありません。

 こうした高校地理の状況から、「地理総合」を担当する先生方や地理教員を志望する学生さんを対象に、開発教育を知っていただき、その教材や授業案をご紹介することを目的に、本書の出版を企画しました。

目次

はじめに

〔第1部:理論編〕
1章 地球的課題と持続可能な開発:SDGsとESDの背景と経緯をさぐる
2章 持続可能な開発と教育:開発教育の歴史的展開と教育的特徴
3章 SDGs時代の地理教育の課題と展望
4章 地理教育における参加型学習と開発教育教材の意義と課題
5章 「持続可能な開発のための地理教育に関するルツェルン宣言」を読み解く

〔第2部:教材編〕
6章  メンタル・マップ:頭のなかの世界地図
7章 ピーターズ・マップ:「正しい世界地図」とは?
8章 写真で学ぼう!「地球の食卓」:食べ物から世界が見えてくる!
9章 レヌカの学び:自分のなかの異文化に出会う
10章 「援助」する前に考えよう:「寄付」と「援助」の是非を考える
11章 服・ファッション:わたしたちは何を着ているのか?
12章 パーム油のはなし:「地球にやさしい」ってなんだろう?
13章 スマホから考える世界・わたし・SDGs:わたしたちは何を使っているのか?
14章 『おいしいチョコレートの真実』:働く子どもたちとわたしたちとのつながり
15章 豊かさと開発:「貧困(貧しさ)」とは何かを考える

〔第3部:授業編〕
16章 アフリカ州から何を学ぶのか
17章 世界遺産地域の持続可能性を考える:「世界遺産」を開発教育する
18章 大豆から世界の現状を考える
19章 白身魚からタンザニアの抱える課題を考える:『ダーウィンの悪魔』を視聴しながら
20章 消滅危機言語から学ぶ世界の現状と課題

〔第4部:資料編〕
1) 「高等学校学習指導要領(平成30年公示)」第1章第2節「地理歴史」抜粋
2) 「持続可能な開発のための地理教育に関するルツェルン宣言」
3) 参考図書一覧
4) その他の開発教育教材一覧
5) 関連団体・関連ウェブサイト等一覧

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