日本政府の「SDGs自発的国家レビュー」にパブリック・コメントを出そう!
締切は4月18日(金)23時59分
2030年までに世界で取り組む共通の目標として掲げられた持続可能な開発目標(SDGs)に関して、3回目の国家レビューとなる「SDGsに関する自発的国家レビュー(VNR)案」が発表されました。現在、「持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビュー」対するパブリック・コメント(通称、パブコメ)の募集が行われています。
「自発的国家レビュー(VNR)」は2025年7月に国連本部で行われる持続可能な開発に関するハイレベル政治会合(HLPF)で発表され、日本におけるSDGsの取り組みと進捗評価の重要な文書となります。今回のパブリック・コメントで集められた意見は、このVNRに反映されることになります。できるだけ多くの市民の意見を届けることが大変重要です。また、パブリック・コメントを送ることは、政策決定過程への市民参加の1つの方法です。
みなさんも、ぜひ、パブリック・コメントに意見を出して、政策決定過程に参加するとともに、多くの市民が注目していることを示しましょう!

DEARより3つのコメント
SDGsに関する自発的国家レビュー(VNR)報告書(案)(以下、VNR)作成に関して、事前に多様なステークホルダーとの会合を設け、様々な声を掲載していること、そして、「人間の尊厳」の重要性を強調したうえで、国際社会のSDGs達成に向けた取り組みを強化、加速していく決意を示されていることに賛同します。
当会は、多くの教育関係者と持続可能な開発のための教育(ESD)や開発教育を普及・推進してきたNPOの立場から、以下、3点コメントいたします。
1.VNRの順番を見直し、各目標の達成状況と課題も含めた現状分析を先に記載するとともに、データを整備してください。
「2030アジェンダ」を具体的に評価するために、SDGsが設定されています。その報告書であるならば、まずは現状分析があり、不十分な課題に対して「重点事項と主な取組」が設定されるべきです。VNRの順番としては、最初に「各目標の達成状況」が置かれ、「できていない」項目への対策として「重点事項と主な取組」が記載されると内容が明確になります。
「各目標の達成状況」においては、「何が達成できて、何が達成できていない」かを分けて記載し、課題やその背景についても明記するとともに、測定データがない目標については、至急、データを整備することを提案します。さらに、すでにあるデータに関しても、以下の例のように、実態を反映できる適切なデータの使用を提案します。
例:<目標4のターゲット>
4.6.1 実用的な(a)読み書き能力、(b)基本的計算能力において、少なくとも決まったレベルを達成した所定の年齢層の人口割合(性別ごと)
説明:2022年の国勢調査において義務教育未修了者が90万人いることがわかりました。70年間実施されていない、長期在留外国人を含む成人識字調査を実施することを提案します。現在の指標は、国際成人力調査(PIAAC)を使っていますが、対象者が5000人と限られており、実態を反映していません。
2.最優先課題である目標1「貧困」と、課題が残る目標10「不平等」に関する取り組みと課題をより具体的に明記してください。
「2030アジェンダ」はその「前文」冒頭で、「あらゆる形態と側面の貧困を撲滅することが最大の地球規模の課題であり、持続可能な開発のための不可欠な必要条件である」と明記しています。また、VNRの冒頭では、「目標10(不平等)では課題も確認される」と書かれていますが、本文において、国内の貧困、不平等の克服のための取り組みと課題の記載が十分ではありません。さらに、5つの重点事項の中にも、国内の貧困、不平等について触れられた項目はありません。持続可能な社会のための不可欠な条件である貧困・不平等への取り組みの現状と課題をより具体的に明記し、日本政府として優先的に取り組むことを表明してください。
3.「だれ一人取り残さない」包摂社会の実現は、人権を基盤とした取り組みと課題を具体的に記載してください
重点事項②にある『「誰一人取り残さない」包摂社会の実現』はSDGsの標語ではあるものの、抽象的で曖昧な表現であるため、「すべての人々の人権を基盤にした包摂社会の実現」のように、具体的に記載願います。人権は誰かに認めてもらうものではなく、誰もが生まれながらにして享受できる権利です。しかしながら、現在の日本社会では、障害のある人や海外にルーツをもつ人、性的マイノリティ、先住民族等、社会的少数者など多くの人々の人権が十分に保障されておらず、かれらに対するヘイトスピーチなどの問題に対して十分に対策がなされているとは言えません。取り組みとして、人権の基本的な理解を促進する教育と、人権を保障する法整備の両方の促進について具体的に記載してください。具体的には、包括的な差別禁止の法律や国内人権機関の設置などについて、記載を提案します。
DEARが提出したパブコメ

ご自身でパブコメを書く際の参考にしてください。
もしも「賛成!」と思う箇所があればその部分をご利用ください。
パブコメの書き方
- 項目ごとに、具体的に、どの部分に対する意見かを明確に示しましょう。
- コピーではなく、自分自身の言葉で書きましょう。
- 非難するより、提案として書きましょう。
- 改善すべきところだけでなく、よいところも指摘し、それを現状から後退させないようにしましょう。

便利!SDGsジャパンのパブコメ・ガイド
DEARも参加する SDGs市民社会ネットワーク (SDGsジャパン)が、新しい「SDGs実施指針」に対するパブリックコメントの提出の仕方を分かりやすく紹介しています。詳細はこちらからどうぞ。
パブコメの出し方
以下のいずれかの方法で送ることができます。
個人でも、団体でも、どなたでも送ることができます。
(1)電子政府の総合窓口(e-Gov)の意見提出フォームを利用する。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=350000208&Mode=0
下方のボタン「意見入力へ」をクリックし、必要事項を記入。1回に送信できる意見は6,000字までです。個人情報の入力は任意です。
(2)外務省に直接電子メールを送る。
件名を「持続可能な開発目標(SDGs)自発的国家レビューパブリックコメント」と 明記の上、別紙(意見提出様式PDF)にならい、sdgs.secretariat@mofa.go.jp までメールを送付します。