レヌカの学び-自分の中の異文化に出会う
概要
多文化共生や人権について考えるカードゲーム
- 原作:土橋泰子
- 発行:開発教育協会
- 初版発行協力:あおもり開発教育研究会/開発教育を考える会
- 初版2004年8月2日、第2刷2007年1月30日、新版第1刷2011年4月1日
- 価格:無料
- 対象:小学生3年生以上
「国」<「個人」の多様性を理解する
多文化共生や人権について考えるカードゲーム。
ネパール人のレヌカさんが、実際にネパールで暮らしていた時と日本に滞在していた時の行動や考え方の変化をもとに教材化した異文化理解教材です。 「国」というよりも「個人」の多様性を理解することができます。他の文化のバージョンにも応用しやすいのが特徴です。
ねらい
- 知らず知らずのうちに、自分の中にできている「思い込み」「偏見」に気づく。
- 「レヌカの学び」は「自分の学び」であるということに気づき、異文化理解のカギは自分自身の中にあることを実感する。
- ネパールという「国」ではなく、レヌカさんという「個」の視点に寄り添っていく「学び」のあり方を追求しながら、多文化共生のために私たち一人ひとりにできることを考える。
教材セット
1.レヌカの学びカード
- A4横/2枚
- 9枚×2セット(ネパール/日本)
- カラ―/両面
- カードを切り分けてご利用ください
- グループの数分ご用意ください
2.レヌカの自己紹シート
- A4縦/1枚
- カラ―/片面
- グループの数分ご用意ください
3.解説書(ファシリテーター用)
A4縦/12頁
1)「レヌカの学びカード」の完成図
2)進め方
3)カードの解説とワークシート
実践レポート
四日市国際交流センターでのワークショップから(2011年11月)
- 普段の生活の中では、自分の事で精一杯で他人にまで気をかけることが少なくなっているが、四日市国際交流センターへ来て、外国の人たちを目の当たりにして、その人たちの背景まで見るようになった。偏見や固執することなく関心を持つことが大切。始める前にネパールやレヌカについての情報を参加者に提供する際、すぐに答えに結び付くようなことにならない様にしないと考える余地がなくなるので注意。(国際交流センターグループリーダー)
- 自分自身の思い込みはとても大きなものだと思いました。レヌカの気持ち(日本・ネパール)を皆で話し合っていくうちに、「自分はこうだから」と自分自身の視点で考えていることに気づかされた。また、答え合わせをして、自分であたりまえと思っていたことがそうではなくて、とても驚いた。学習者さん(日本語学習生徒)が雨の日に「雨だから勉強行きません」とドタキャンしたのにも、その人なりのきちんとした理由があるのかも、と思います。学習者さんとボランティアさんがいきちがいやトラブルがあった時、「レヌカの学び」を受けていると、少しは先生の心持ちもちがってくるのでは?(国際交流センター職員H/30代女性)
- 多文化共生関係の仕事をする為に、言葉と知識がもちろん必要ですが、柔軟性がもっと必要だと改めて気付きました。 宗教、言語、環境、文化、価値観の差で、相手のことを知らない、理解しないうちに「先入観、思い込み」で判断し行動するのは異国に住んでいる外国人によくないと思います。(国際交流センター職員T/30代女性/中国出身)
- 「レヌカ」という人物像が「ネパール出身」という事と「自己紹介カード」からしか想像できず、「そんな少ない情報で判断しろと言われても‥」と思ったが、実際日常で関わる他人についてどれ程の事を自分は知っているのか、そしてその少ない情報で他人について決めつけ判断をしているのだと気付いた。自分は思っているほど他人の事を理解していないのだという気づきになりました。(国際交流センター職員K/20代女性)
参加者の声
教材の入手方法
(1)郵送で入手する
500円分の切手を同封の上、「送付先住所(建物名もご記入ください)・お名前・連絡のつく電話番号またはE-mailアドレスをご記入のうえ」DEARまで封書でご請求ください。折り返し、1セット郵送いたします。
※複数部ご希望の方は、ご自身で複写してご利用ください。
<送付先>
〒112-0002 東京都文京区小石川2-17-41富坂キリスト教センター2号館3階
特定非営利活動法人 開発教育協会/DEAR 「レヌカの学び」係
(2)ウェブからダウンロードする
以下の送信フォームに情報をご記入のうえ、送信してください。
折り返しダウンロード元のURLをE-mailでお送りします。なお、データはPDF形式となりますので、ご了承ください。
ご寄付のお願い
この教材は2004年の発行以来、有償頒布(1,800円)していましたが、開発教育活動や異文化理解の広がりを願い、2011年4月より無料配布といたしました。利用者の皆さまには、ぜひ、「ギブ&テイク」のお気持ちで、ご寄付や実践レポート、感想などのフィードバックをいただきますよう、お願い申しあげます。
原作者からのメッセージ
私はよく「人境」という言葉を使います。人と人の間にあるのは「国境」ではなく「人境」だと。理解し合える場合もあればそうではない場合もあります。でも、一対一で真正面から向き合う勇気を持ち、人境を超えてみる。その過程を通して他人理解と自己理解が育まれていくと思います。「個」と向き合うことは「自分」と向き合うことではないでしょうか。一人の人との出会いから新しい世界が広がっていきます。その世界を分かち合いたいという思いをこめて、この教材を作りました。
ネパールから帰国後、講演を頼まれるたびに、どんなに視聴覚教材や展開を工夫しても、講義型では伝わる限界があることを悩んでいました。そんなとき開発教育の理念や手法に出会い、多くのヒントをもらいました。「レヌカの学び」は地域の開発教育の学びの中から生まれました。そして今回、発行するにあたり多くの方の協力をいただきました。今後は、皆さんとともにこの教材を成長させていきたいと思っています。(土橋泰子)
応用編づくりのヒント
教材を利用された方から「違う国のバージョンはありますか?」「〇〇編を作成したい」というお問い合わせをいただきます。
まずは、応用編を作りたい方と一緒に「レヌカの学び」を体験し、その方にインタビューしたり、相談したりしながら作成してみてください。応用編作成のプロセスをおろそかにせず、作成することで、そのプロセス自体も学び多い経験となるはずです。
バングラデシュ出身の方と一緒につくった応用編
「北区に暮らすハサンの学び」実践レポート
http://dearstaff.blogspot.com/2018/02/5.html
日本とイギリスでの生活体験のある方と一緒につくった応用編
「かわむらの学び」実践レポート
http://dearstaff.blogspot.com/2012/09/blog-post_14.html
教材の著作権について
- 教材・書籍等の著作権は開発教育協会に帰属します。著作権法上の例外を除いて、教材・書籍等の全部または一部を無断で複製したり、転写・引用・入力などしないでください。
※著作物が自由に使える場合(文化庁)http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html - ワークシート等の複写による利用は、学術的な調査研究、「非営利」の教育・学習活動に限ります。例えば、学校の先生が、授業で使うためにコピーを作って児童や生徒に配布することは「著作権法上の例外」なので、問題ありません。
- 教材・書籍等を利用して、非営利目的の講義や参加型学習プログラムを実施する際には、事前の広報資料や当日の配付資料、事後のレポート等に、使用する著作物の著作権者が当会であることを明示してください。印刷物やウェブページには、例えば、「当研修/講座で使用する教材/テキストは、開発教育協会(DEAR)発行の教材です。詳細はhttp://www.dear.or.jp/を参照してください。」等の表記をしてください。